【共通テスト】新型コロナの救済策を見送り 永岡文科相

【共通テスト】新型コロナの救済策を見送り 永岡文科相
閣議後会見で質疑に応じる永岡文科相
【協賛企画】
広 告

 来年1月に行われる大学入学共通テストを巡り、永岡桂子文科相は11月29日、受験生が新型コロナウイルス感染症によって本試験、追試験のいずれも受けられなかった場合に、各大学に個別入試のみによる合否判定を要請した今年1月の救済措置について、「今年限りの措置として、大学に要請したもの。文科省から同様の措置を再度要請する予定はない」と述べ、来年は見送る考えを表明した。新型コロナウイルス感染症による自宅待機期間が短縮されたことや、今年の対象者が少なかったことなどを理由に挙げた。

 永岡文科相は「新型コロナウイルスの影響により受験生が受験機会を失うことのないように、その機会を確保することは大変重要。このため、すでに共通テストにおいては、感染症による影響を勘案して、本試験の2週間後に追試験を実施すること、追試験を選択しやすいように全都道府県に試験場を設定することを決定している」と、来年1月の共通テストでの受験機会の確保に向けた準備状況を説明。

 その上で、救済措置を見送る理由について、「新型コロナウイルス感染症を理由とする自宅待機期間は大幅に短縮されている。無症状、濃厚接触者はこれまで通り受験可能となっている。また、試験場においては、受験生が体調不良を訴えた場合に継続受験を認めない要件について『体温37.5度以上』を『38.0度以上』に見直した。このため、受験生が本試験または追試験を受験できないこと、試験場で受験継続できないことは想定しにくいと考えている」と述べ、理解を求めた。

 今年1月に行われた共通テストでは、直前になって新型コロナウイルスのオミクロン株が急拡大したことから、本試験と2週間後に行われた追試験のいずれの日程も受験できないケースを想定し、文科省がテスト開始の4日前に急きょ、共通テストを課している大学に対して個別入試のみによる合否判定を要請した。同省によると、新型コロナを理由に本試験も追試験も受験できなかったとして、個別入試などによる合否判定を出願した受験生は、19大学で延べ24人だったという。永岡文科相は「これだけ人数が少なかったことを踏まえ、(来年の共通テストでは)追試験以外は考えていない」と説明した。

 来年の共通テストは本試験が1月14・15日、追試験が1月28・29日に行われる。当日、受験者から体調不良の申し出があり、所定の健康状態チェックリストに照らして「高熱の症状がある」などの項目に該当した場合、追試験の受験申請をすることとなっている。追試験の会場は従来全国2カ所のみだったが、新型コロナウイルスの感染が拡大した21年の共通テストからは、感染によって受験できなかった場合に備え、追試験となる試験で全都道府県に会場を設ける特例が続いている。

 また、大学入試センターは9月13日、試験中の体調不良時に受験を継続するかどうかの判断に用いる「健康状態チェックリスト」の一部見直しを公表。「高熱の症状がある(38.0度以上)」「息苦しさ(呼吸困難)がある」「強いだるさ(倦怠感)がある」からなるA欄のうち1項目以上、または「発熱の症状がある(37.5度以上38.0度未満)」「咳の症状が続いている」「咽頭痛が続いている」などからなるB欄のうち2項目以上該当する場合は、継続して試験を受けることはできず、追試験の受験申請をすることとしている。昨年までB欄にあった「味を感じない」「臭いを感じない」などは削除した。

広 告
広 告