子供の読書活動の推進に関する基本計画 論点まとめ案を議論

子供の読書活動の推進に関する基本計画 論点まとめ案を議論
iStock.com/SpicyTruffel
【協賛企画】
広 告

 来年度からの「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の策定について話し合う、文科省の第6回有識者会議が11月29日、オンラインで行われ、論点まとめ案について議論した。基本的方針として「不読率の低減」「多様な子供たちの読書機会の確保」「デジタル社会に対応した読書環境の整備」「子供の視点に立った読書活動の推進」を柱とし、子供の読書活動の推進体制や方策を進めていくとしている。この日の議論を受けた修正などは秋田喜代美座長(学習院大学文学部教授)に一任され、今年度中をめどに第5次基本計画が閣議決定される見通し。

 世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、GIGAスクール構想による学校のICT環境の整備など、子供たちを取り巻く環境の変化や現行基本計画の成果と課題なども踏まえ、同有識者会議では「第5次子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の策定に向け、意見を交わしてきた。

 論点まとめ案の基本的方針では、「予測困難な時代に生きる力を育む上で、読解力や想像力、思考力、表現力などを養う読書活動の推進は不可欠。読むこと自体の楽しさ、それによる充実感、満足感を得ることが重要で、そうした体験は生涯にわたる学習意欲やウェルビーイングにつながる」とし、▽不読率の低減▽多様な子供たちの読書機会の確保▽デジタル社会に対応した読書環境の整備▽子供の視点に立った読書活動の推進━━に考慮しながら、家庭、地域、学校などが連携し、社会全体で子供の読書活動を推進する必要があるとした。

 島弘委員(日本図書館協会児童青少年委員会委員長)はデジタル社会に対応した読書環境の整備について、「電子書籍は多様な子供たちの読書機会を確保するには有効な方法だが、発達段階への配慮は必要だ。私はまず子供たちの周りに潤沢な紙の本の環境を整備すること、それにプラスする形で電子書籍を加える構造が大事だと思っている」と話した。また、子供の視点に立った読書活動の推進については、「利便性や効率性を優先する大人目線ではなく、子供の視点に立った読書環境の整備が必要だろう」と強調した。

 福田孝子委員(埼玉県三郷市読書活動アドバイザー)は、発達段階に応じた取り組みについて、乳幼児期の重要性を訴えた。「都内の学校司書の方から、紙の本のページをめくれなかったり、スマホのように指で縦にスクロールしようとしたりする小学1年生がいると聞いた。紙媒体や電子媒体を柔軟に選択できる条件を整えるだけでなく、子供たちの成長のために、紙の本に触れることが大切だということも入れていただきたい」と要望した。

 秋田座長は「平和や命、人とのつながりを考える今の世の中において、教科書だけでなく、さまざまな本を分かち合っていくことが大事だと思っている。紙の本の充実とともに、多様な子供たちがデジタル媒体によって支援されることの両面が必要だろうと考えている。基本計画にはいろんな子供たちの声も生かしていきたい」と締めくくった。

広 告
広 告