地域の日本語教育で報告書 自治体に基本方針策定求める

地域の日本語教育で報告書 自治体に基本方針策定求める
報告書について了承した国語分科会(YouTubeで取材)
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 文化庁の文化審議会国語分科会は11月29日、第82回会合をオンラインで開き、日本語教育小委員会が取りまとめた「地域における日本語教育の在り方について」の報告書を了承した。報告書は在留外国人や外国人労働者が増加する中で、国・地方自治体が関係機関と連携して日本語教育の施策を充実させていく際の指針となるもので、地域で暮らす外国人が自立して生活していく上で必要となる日本語能力を身に付けるための施策を提言。地方自治体に対して日本語教育の推進に関する基本方針を策定することなどを求めている。

 2021年には在留外国人が約296万人、外国人労働者が約173万人で過去最高となるなど、日本国内の外国人人口は増加しているが、外国人が日本語を学ぶための日本語教室がない市区町村は全体の半数近い877自治体に上り、こうした地域の日本語教育に携わっている日本語教師の約半数がボランティアであるなど、地域の日本語教育には課題が山積している。

 そこで、報告書では地方自治体に対し、日本語教育の推進に関する基本方針・計画を策定することを求めるとともに、外国人が日本語を学習する際の目標や基準を整理した「日本語教育の参照枠」で「自立した言語使用者」とされるB1レベルまでに対応した、目安として350~520時間の学習時間の日本語教育プログラムを編成することを提言した。

 さらに、日本語教育人材を確保するために、地域日本語教育コーディネーターの専任配置や専門性を有した日本語教師を一定数配置すること、外国人コミュニティーなども含めたさまざまな関係機関と連携して日本語教育を展開すること、国籍や年齢を問わず、難民、非識字者など多様な背景を持った人に配慮することなども盛り込んだ。

 また、日本人の住民が日本語教育の活動に参加することで、多様な文化を理解し、地域の共生社会の実現につながるとしている。

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