中学技術も免許外教科担任の改善を 情報科の動き受け

中学技術も免許外教科担任の改善を 情報科の動き受け
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 2025年実施の大学入学共通テストで新たに出題科目に加えられるなど、充実が図られる高校の情報科を巡って、技術教育の研究・振興に取り組む日本産業技術教育学会はこのほど、「意見」を公表した。「意見」では、情報科において、免許を持たない教員が教える免許外教科担任が解消する見通しとなったことを評価。一方で、情報科の免許外教科担任同様に、中学校技術・家庭科の技術分野(技術科)における免許外教科担任も大きな問題であると指摘し、情報科と同様に指導体制の改善を進めるよう求めた。

情報科の動きを受けて日本産業技術教育学会が公表した「意見」
情報科の動きを受けて日本産業技術教育学会が公表した「意見」

 高校の情報科は、今年度から新学習指導要領での必履修科目である「情報Ⅰ」がスタートし、25年実施の共通テストで新たに出題教科となる。これを受けて文科省では、都道府県・政令市に改善計画の策定を求め、免許外教科担任や臨時免許状で情報科を教えている教員は24年度までに解消される見通しとなっている。また、11月9日には、大学入試センターから「情報」の試作問題も公表された。

 こうした最近の動きを踏まえ、同学会が出した「意見」では、多くの大学が共通テストの「情報」を積極的に課していくことを強く求めるとともに、情報科の指導体制の充実や外部人材の活用などに協力していく方針を示した。一方で、11月15日に文科省から通知された「高等学校情報科に係る指導体制の一層の充実について」では、情報科で顕在化した指導体制の課題と類似の問題が中学校の技術科でも起きていることが指摘されているとし、情報科の指導体制強化に合わせ、技術科の免許外教科担任の解消や指導体制の改善が進むことに期待するとしている。

 同学会会長の村松浩幸信州大学教授は「現在の情報科の内容は、より専門的かつ深くなっており、それを高校生がしっかりと身に付けるためには、その前提となる中学校技術科での学び、さらには小学校段階でのプログラミング教育の積み重ねが重要になる。特に技術科では、前回の学習指導要領からすでに全ての中学生にプログラミングが必修化されており、中学校段階での指導が充実することは高校の情報科、さらには大学で展開されつつあるデータサイエンス・AIの学びの下支えになるだろう」と強調。

 「技術科の免許外教科担任は年間2000人を超えている現状があり、大変深刻な問題だ。教員養成段階でも、技術科のコースを取りやめる大学が出てきているなど、危機的な状況が広がっている。国の方針を実現するためにも、これらの問題への早急な対応が望まれる」と警鐘を鳴らしている。

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