中間層への大学修学支援「少子化への対処に寄与」 永岡文科相

中間層への大学修学支援「少子化への対処に寄与」 永岡文科相
閣議後会見で質疑に応じる永岡文科相
【協賛企画】
広 告

 2024年度に始める高等教育修学支援新制度の中間所得層への拡充を巡り、子供が3人以上いる「多子世帯」などを新たに支援対象とする制度設計を文科省の検討会議がまとめたことについて、永岡桂子文科相は12月13日の閣議後会見で、「教育費の中でも、高等教育にかかる費用負担は大きい。中間層への支援の拡大を通じて、急速な少子化の進展への対処に寄与することができると考えている」と述べ、教育費の負担軽減による少子化対策への効果に期待感を示した。支援対象となる中間所得層の所得制限や支給額については「24年度から着実に実行できるように、早急に政府が調整してまいりたい」と話した。来年6月ごろに閣議決定する「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)に向け、支給額などの具体的な調整を進める考えとみられる。

 永岡文科相は、少子化と教育費の関係について「夫婦が『何人、子供が欲しい』『たくさん欲しい』と思っても、理想の数の子供をなかなか持てない。その理由として『子育てや教育にお金がかかり過ぎるから』ということを挙げる方の割合が大変多い。若い夫婦ほど、その傾向が強く出ている。特に、理想の子供の数が3人以上だけれども、予定はそれを下回る夫婦において、その割合が大変高くなっている」と指摘。

 「教育費の中でも、高等教育にかかる費用負担は大きい。今回の中間層への支援の拡大を通じて、子供を安心して産み育てることができる環境の整備を図ることで、わが国における急速な少子化の進展への対処に寄与することができると考えている」と続け、3人以上の子供を持ちたいと考える世帯に対して、教育費の負担軽減を図ることが少子化対策にもつながるとの見方を示した。

 検討会議は12月12日に了承した報告案で、高等教育修学支援新制度に中間所得層を対象とする新たな支援区分を設け、扶養されている子供が3人以上いる「多子世帯」の学生や、理学・工学・農学系の学部・学科の学生を支援する制度設計をまとめた。ただ、支援対象となる中間所得層の所得制限や支給額については「今後、財源と合わせ、政府において検討することとなる」として具体的な数字を示さなかった。所得制限については高等学校等就学支援金で私立高校の生徒が加算対象となる年収上限の約600万円、支給額については修学支援新制度の満額の4分の1に当たる年間40万2000円を参考として挙げている。

 こうした所得制限や支給額の具体的な数字について、永岡文科相は「24年度から着実に実行できるように、新たな支援区分の具体的な所得基準などについて、早急に政府が調整してまいりたい」と説明。

 財源を巡る調整次第で支援規模が小さくなる恐れはないのかとの懸念については「経済的困難によって、学生たちが進学または修学を断念することがないように、修学支援新制度の中間層への拡大を着実に実施していくことが基本になっている。安定財源の確保については、今後政府内でしっかりと検討を進めていく」と述べた。

 岸田文雄首相は、来年6月ごろに閣議決定する「骨太の方針」で、子供関連予算を倍増させる道筋を描く考えを繰り返し表明しており、その中で高等教育修学支援新制度の中間所得層への拡充についても支給額などが具体化するとみられる。

広 告
広 告