消費者庁はこのほど、2023年度からの新たな消費者教育の推進に関する基本的な方針案について、パブリックコメントの募集を始めた。22年4月から成年年齢が18歳に引き下げられたことを踏まえ、外部の専門家と連携した取り組みやデジタルを生かした教材提供などを学校現場に向けて促進するとした。
基本方針案は、消費者教育推進法に基づき、23~29年度までの7年間を対象に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や社会のデジタル化の動きもにらみつつ、あらゆる世代に対する自立した消費者育成の取り組みや消費者教育の担い手育成の視点を盛り込んだ。特に、成年年齢の引き下げに関しては、これまで引き下げを見据えて高校を中心に重点的な取り組みが行われてきたが、依然として若年者は知識や経験の不足による脆弱(ぜいじゃく)性を抱えていることや、SDGs、エシカル消費への関心が高い傾向にあることを踏まえ、若年層が社会参画の入口の段階で深刻な経済的損失を被ることがないようにしつつ、持続可能な社会の形成に積極的に関わっていけるようにした取り組みが今後も一層重要になると強調した。
その上で、基本方針案では消費者教育の基本的視点として▽「教えられる」だけでなく、消費者による自らおよび相互に「学ぶ」「考える」「行動する」ことを促進▽多様な消費者の特性を踏まえたきめ細やかな対応(特に若年者、高齢者等)▽デジタル化への対応▽消費市民社会の一員としての行動を促進――を掲げ、①消費者市民社会の構築に関する領域②商品等やサービスの安全に関する領域③生活の管理と契約に関する領域④情報とメディアに関する領域――の4つの対象領域ごとに目標を整理。金融経済教育や法教育、食育、環境教育など、他の関連する教育内容との連携推進も明記した。
学校の消費者教育については、20年度から順次実施されている学習指導要領で消費者教育の内容が充実したことを踏まえ、消費者問題に詳しい消費生活相談員や弁護士、司法書士などの実務経験者を外部講師として活用することや、1人1台の学習者用端末の普及に対応した教材の提供、優良事例の横展開が重要だとした。
また、消費者教育の担い手を育成していくために、大学や教育委員会で消費者教育を学べる実践的な学習プログラムの改善・充実を推進するとした。
基本方針案は23年1月16日まで意見を募集。詳細はe-GOVのウェブサイトで確認できる。パブリックコメントの終了後、消費者庁では消費者教育推進会議で最終案を取りまとめ、それを基に今年度中に新たな基本方針が閣議決定される見込み。