次期ICT環境整備計画の策定に向けて 有識者会議が初会合

次期ICT環境整備計画の策定に向けて 有識者会議が初会合
オンラインで行われた学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議
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 「GIGA スクール構想」を踏まえた今後の学校におけるICT環境整備の在り方や、地方自治体のICT環境整備計画の策定促進を図るため、文科省は12月20日、「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」の初会合をオンラインで開催した。同有識者会議で2025年度に向けて新たなICT環境整備方針の策定の検討を進めていくとし、今後の論点案について委員らが意見を交わした。

 学校におけるICT環境整備の在り方については、17年度に「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(18~22年度)」を策定しており、現行のICT環境整備計画は今年度末で期限を迎える。計画期間中にコロナ禍によるGIGAスクール構想の前倒しで1人1台端末の環境整備が急速に進められた。これらの状況を踏まえ、新たな同方針の策定を行うまでには一定の時間を要するとし、現行の計画期間を24年度まで2年間延長し、同有識者会議において新たなICT環境整備方針の策定を25年度に向けて検討を進めていくとした。有識者会議の座長には堀田龍也氏(東北大学大学院情報科学研究科教授、東京学芸大学大学院教育学研究科教授)が選出された。

 新たなICT環境整備方針の策定にあたっては、まずGIGAスクール構想における1人1台端末の利活用推進に伴って見えてきた課題や成果について検証することが不可欠とし、事務局からは今後の主な論点案として、▽学習指導要領の趣旨の実現に向けて1人1台端末を活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の目指すべき姿▽今後の目指すべき学びの姿を実現していくための「理想とするICT環境および機能」▽全国の学校において最低限補償すべき「標準的なICT環境および機能」▽地域や学校、教師によって生じている1人1台端末の活用状況の差▽特別な配慮を必要とする児童生徒に対するICT活用の今後の在り方━━などが示された。

 それに対し、石井一二三委員(青森県八戸市教育委員会総合教育センター主任指導主事)は「1人1台端末を家に持ち帰れる状況が増えたことで、学びの連続性として効果があるはずなのに、まだまだ進んでいない印象がある。そこについても議論していきたい」と考えを述べた。

 また、高校での1人1台端末整備について、柴田功委員(神奈川県立希望ケ丘高校校長)は「神奈川県では保護者負担のBYOD で進めている。故にOSや端末はバラバラだが、クラウドベースで活用するので、大きな問題は起きていない。例えば今後、自治体負担で高校の1人1台端末を整備しようとしているところも、OSや端末をあえてそろえる必要はない」とアドバイスを送った。

 高橋純委員(東京学芸大学教育学部教授)は「GIGAスクール構想の整備の方針はとても良かったと思っている。クラウドを使うことによって安価な整備、シンプルな整備ができた。この方針を受け継いでいくのが重要ではないか」と見解を示した。さらに、個別最適な学びと協働的な学びが一定程度成功している学校では、授業観の転換はもちろんのこと、ICT活用観も新しいと指摘。「技術の進展は非常に速い。2年後に向けて新たな方針をつくっていく中で、検討している最中にも技術は更新されていく。具体の例示については常に見直しをしていく必要がある」と述べた。

 堀田座長は「私は『情報活用能力』という言葉が学習指導要領の総則に明記されたことは、非常に意味があると思っている。子どもたちの情報活用能力が育った上でのICT活用は、今までのICT活用とは変わらざるを得ないだろう。いろいろな価値観が変わろうとしている今、たくさんの意見をいただきながら今後の方針を決めていきたい」と締めくくった。

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