生徒が主体になって校則の見直しに取り組む「ルールメイキング」の活動を全国各地の中学校・高校で推進しているカタリバは12月26日、ファッション通販サイトを運営するZOZOの社員とルールメイキングにチャレンジしている中高生が、「自分らしさ」を大切にするルールづくりをテーマに話し合うイベント「全国生徒交流会」をオンラインで開いた。中高生たちはZOZO独自のユニークなルールが作られたプロセスなどを聞きながら、ルールメイキングもどうしたらいろいろな生徒が自分事として関わってくれるようになるかといった課題について意見交換した。
イベントにはルールメイキングに取り組む全国の中学校や高校から約60人が参加。ゲストのZOZOのコーポレート・アイデンティティ室フレンドシップマネージメント部に所属する鹿子聡美さんと篠田ますみさんが、子育てや介護だけでなく、社員が大切にしたい人やペットに対しても適用される同社独自の時短勤務制度や、ダイバーシティをテーマにした社員参加型のイベントなどを紹介した後、関心のあるトピックごとに分かれて対話を行った。
「『○○らしさ』について考える」というトピックでは、生徒から「自分らしさを一人一人が主張するようになるのはいいことだが、それを会社が尊重し過ぎると組織としての形が崩れてしまうのではないか?」と鹿子さんに質問。
それに対して鹿子さんは「やっぱり一人一人、考え方や捉え方は違うから、意見がそれぞれ異なることもある。だからこそ私たちは徹底して話をするように意識している。それこそ妥協したらすぐに終わる話なのかもしれないけれど、その目的が誰のためのもので、どうなりたいかをすごく時間をかけて話す。話しているから解決するというよりも、お互いが話している内容は一見違うように聞こえるかもしれないが、掘って掘って行きつく先に共通することがかなりあることに気付ける」と、対話する重要性を強調した。
また、「ルールを変えていくために、仲間を増やす方法を考えよう」のトピックでは、「ルールメイキングに関わっていない生徒には、ルールメイキングについて理解が広まっていないようで、『なぜそんなことをする必要があるのか』という意見も聞こえてくる。どうすればみんなをうまく巻き込めるのか」と篠田さんに助言を求めた。
篠田さんは独自の時短勤務制度の導入では、子育てをしている社員に直接話を聞くなどして、ヒアリングと同時に関わってくれそうな人に参加を呼び掛けていったことを紹介。「まずは力になってくれそうな人にお願いしていくのが、一歩ずつ前に進む方法。楽しそうな雰囲気をつくっていければ、関わってくれる人も増えていくのではないか」とアドバイスした。
交流会に参加した愛知県立足助高校2年の関原優心さんは「会社ではあまり社員同士で話さないで仕事をしているイメージがあったが、ZOZOでの様子を聞いて、積極的にコミュニケーションしているのだと驚いた。ルールメイキングでは途中でやめてしまう人も少なからずいて、それが悩みでもあったが、コミュニケーションが足りなかったり、仕事が多過ぎて嫌になってしまったりしたのかもしれない」と、ルールメイキングの活動を振り返っていた。
同じく福島県小野町立小野中学校2年の矢内陽人さんは「生徒会として校則の見直しについてアンケートをしているが、結果をそのたびにきちんと報告することが、信頼関係をつくる上ですごく大切だと気が付いた。他の学校では制服を買わない選択ができたり、量販店で買うことができたりしているところもあると聞いて、とても面白かった」と話し、他校との意見交換で刺激を受けていたようだった。