自殺を巡る問題の解決に取り組むNPO法人OVAは1月10日、教職員をはじめとする子どもと関わるさまざまな職種の人が、子どもの自殺の危険に遭遇した際の対応をまとめた事例集を発行した。合わせてOVAでは、自殺リスクのある子どもを支える大人(ゲートキーパー)からの相談に対して実際に行った間接的援助技術や相談事例をまとめた資料も公開。子どもの自殺リスクに直面する可能性の高い大人を対象に、自殺の危険がある子どもに適切に接し、見守ることのできるゲートキーパーとして養成していくことは、効果的な自殺予防につながるとして、これらの資料の活用を呼び掛けている。
OVAは2022年5月に、子どもと接する職種に就いている人が、どのような子どもの自殺の危険と遭遇しやすいのかを実態調査。実際に危険に遭遇した経験がある1008人の大人から、小学生以上の子ども1279人が自殺の危険に遭遇した際の体験についてデータを集めた。
このデータを基に、対応事例集では子どもの自殺の危険に遭遇する割合が高かった職業や子どもとの関係性の中で共通する子どもの自殺の危険との遭遇場面や対応、体験した感情的な揺らぎなどを架空のケースとして整理。▽教職員▽学校管理職▽養護教諭▽スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー▽児童養護施設職員▽社会的養護に関わる地域のボランティア▽地域の居場所・学習・生活支援に携わる関係者▽民生児童委員――の各職種について、その架空ケースでの対応のポイントや声掛けの例などを解説している。
また、OVAでは19~22年度まで長野県と協働で「子どもゲートキーパー養成・支援モデル構築事業」に取り組んでおり、県内の教職員や子どもの支援に携わる支援者にゲートキーパー研修を提供したり、相談窓口を開設したりして、支援者への支援(コンサルテーション)を行ってきた。その21~22年度の成果を踏まえ、実際に同事業の中で実施した間接的援助技術や相談事例をまとめた冊子も対応事例集と合わせて作成した。
これらはOVAのHPで公開されている。