受け皿以外にも課題 部活動の地域移行で競技団体に調査

受け皿以外にも課題 部活動の地域移行で競技団体に調査
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 来年度から「改革推進期間」として本格化する中学校の休日の部活動の地域移行について、中央競技団体や都道府県体育・スポーツ協会では、受け皿となるクラブ・チームや指導者に関することだけでなく、学校と受け皿団体との連携を促すコーディネーターが不足しているなどの課題を感じていることが1月16日、日本スポーツ協会(JSPO)の行った実態調査で明らかになった。一方で、運動部活動の地域移行により、子どもの多様なニーズに対応できるようになることへの期待も大きかった。

 調査結果は、JSPOによる運動部活動の地域移行に向けた加盟団体のオンラインミーティングで公表された。調査は昨年10月3~31日に実施し、中央競技団体は71団体中60団体が、都道府県体育・スポーツ協会は全47団体が回答した。

 中央競技団体の回答をみると、中学校の運動部活動の地域移行に関して、「傘下の都道府県組織等との会議を開催し、対応策について検討している」と答えたのは9団体、「自治体と連携して取り組みを行っている(検討しているも含めて)」は8団体、「組織内に検討する部門等を設置した」は12団体あり、34団体が「今後、何らかの取り組みを行う予定」とした(複数回答)。今後予定している取り組みやアイデアを自由回答で尋ねたところ、部活動への指導者派遣や市区町村協会への少年部の設置、教育委員会による地域部活動の設立への協力などがあった。

 運動部活動の地域移行に期待することを複数回答で聞いたところ、多かったのは「楽しみ志向、競技志向等、多様な子どもたちのニーズに対応できるようになること」(45団体)や「新たな登録者(競技者、指導者、審判員)が見込まれること」(40団体)などだった。

 地域移行に向けた課題(複数回答)では、「市区町村レベルにおいて、学校とチーム・クラブとの連携を促進するコーディネーターがいない又は不足している」(26団体)や「受け皿となるクラブ・チーム等が指導者への謝金を十分に払えない又は不足している」(25団体)、「受け皿となるクラブ・チーム等の実態が把握できていない」(24団体)、「受け皿となるクラブ・チーム等に対応できる指導者がいない又は不足している」(24団体)などがあった(=表1)。

 都道府県体育・スポーツ協会への調査をみると、地域移行に向けて「都道府県(行政)と連絡調整(打合せ、会議等)を行っている」と答えたのは42団体に上るなど、具体的な協議が始まっている状況が伺える結果が示された。自由回答では総合型地域スポーツクラブの組織基盤の強化や、指導者マッチングサイトへの登録呼び掛けなどがあった。

 運動部活動の地域移行に期待すること(複数回答)では、中央競技団体の場合と同じく「楽しみ志向、競技志向等、多様な子どもたちのニーズに対応できるようになること」が最も多く35団体あったほか、「総合型クラブ活動が活性化する(中・高校生の会員数の増加等)」(30団体)や「スポーツ少年団活動が活性化する(中・高校生の団員数の増加等)」など、地域スポーツ団体へのメリットを挙げる声も多かった。

 地域移行に向けた課題(複数回答)では「受け皿となるクラブ・チーム等に対応できる指導者がいない又は不足している」(35団体)や「市区町村レベルにおいて、学校とチーム・クラブとの連携を促進するコーディネーターがいない又は不足している」(32団体)、「受け皿となるクラブ・チーム等の実態が把握できていない」(31団体)などが目立った(=表2)。

 

 調査結果を踏まえ、JSPOの担当者は「中央競技団体や都道府県体育・スポーツ協会が具体的な動きを見せられない一因には、行政からの具体的な方向性が示されていないといったこともあると思われる。運動部活動の改革スケジュールは見直されることになったが、中学生をはじめとする子どもたちのスポーツ環境が厳しい状況には変わりない。JSPOとしては子どもたちがやりたいスポーツを目的・技能に応じて楽しむことができる環境を整えることを第一義として、JSPO公認スポーツ指導者の確保や運営団体・実施主体としてのスポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブの確保を加盟団体と協働・連携して進めていきたい」としている。

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