ベビーシッターなどのこどもの預かりサービスの質を検討するため、こども家庭審議会幼児期までのこどもの育ち部会に設置された専門委員会は1月13日、初会合を開き、こども家庭庁が示したベビーシッターの基準適合促進案について議論した。認可外保育施設の中でもベビーシッターは国の指導監督基準を満たしている割合は低く、こども家庭庁では安全計画や有資格者の数など、基準を満たしていない割合が多い項目について、自治体に基準適合の促進を働き掛けていく方針。
2021年度の認可外保育施設の状況をまとめたこども家庭庁の資料によると、指導監督基準の適合率は▽ベビーホテル 55.2%▽事業所内保育施設 76.7%▽ベビーシッター 28.1%▽その他の認可外保育施設 66.3%――で、ベビーシッターの適合率が他と比べ極端に低かった。特にベビーシッターは保育士または看護師の資格を持っているか、都道府県が行う研修を修了していることなどが求められているが、立ち入り調査を行った施設のうち22.9%がこの基準を満たしていなかったほか、研修の受講、乳幼児の人権への配慮、児童相談所などとの連携や安全確保に関する項目も約4割が不適合だった。
こうした課題を受けて、こども家庭庁では保育の質の確保の観点からベビーシッターの基準適合を促進していくこととし、都道府県による指導監督の徹底や研修の受講機会の確保などを盛り込んだ対応案を示した。
対応案について普光院亜紀委員(保育園を考える親の会顧問・アドバイザー)は「利用者の立場からすると、資格もなくて研修も受けていない人がベビーシッターとして稼働していて、自分が預けてしまうかもしれないというのは納得のいかない状況だと思う。新規の届け出があった個人シッターについては、なるべく集団指導でもいいのですぐに研修を受けて実務に就くように働き掛けるようなことをしていただきたい。何もないまま赤ちゃんの状態を見ているというのは、大変懸念される状態だ。届け出とリンクさせて早期の指導ができるシステムをつくってほしい」と指摘した。
また、吉田大樹委員(労働・子育てジャーナリスト、NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事)が「安全確保はやはり、基準を満たしていない割合が今回一番高かった。居宅訪問なのでどうしても訪問した家庭の状況は千差万別だと思うが、そこでいかに(基準を)クリアしていくかはベビーシッターだけでなく保護者の努力も求めていくことがあっていい。チェックリストを作るなどして、保護者への通知も求められる」と述べるなど、特に安全対策の基準適合に取り組んでいく必要性を指摘する意見もあった。