来年度から義務化される教員研修履歴の記録について、教育委員会内部だけでなく教員個人にも研修記録情報を提供でき、対話と奨励に生かすことができるシステムを導入している教育委員会が、昨年9月時点で33教委(全体の25.6%)あったことが1月17日、文科省の「2021(令和3)年度における教員研修実施状況調査」で分かった。
文科省は今回、教員研修履歴の記録にあたり、エクセルのようなファイルデータではなく、「研修記録情報を対話と奨励を前提に集約する機能を持つ電子記録システム」を導入している教育委員会の数を調査。こうしたシステムの導入は必須ではないが、現状把握のために調査項目に盛り込んだ。
導入している33教委のうち、「教職員一人一人による研修履歴の振り返りおよび受講計画の作成に役立てている」と回答したのは17教委、「学校管理職や教育委員会事務局担当者などによる、教職員一人一人への研修履修指導などに活用している」と答えたのは11教委だった。
記録している項目は、多い順に「法定研修」(100教委、77.5%)、「年次研修や担当者研修など悉皆(しっかい)で行う研修」(95教委、73.6%)、「職階などの悉皆研修」(81教委、62.8%)――など。今年4月以降、必須研修に加えて記録を検討している項目は、多い順に「(独)教職員支援機構主催の研修」(66教委、50.8%)、「大学院派遣研修などの長期研修(休業を伴わないもの)」「国の機関や、教職員支援機構を除く独立行政法人の研修」(ともに52教委、40.0%)――など。
初任者研修の実施状況を見ると、初任者1人にかける1週間当たりの校内研修の平均指導時間は▽小学校 8.6時間(前年度比1.3時間増)▽中学校 8.6時間(同1.3時間増)▽高校 10.2時間(同2.6時間増)▽特別支援学校 10.3時間(同2.9時間増)――で、いずれの校種でも増加した。また、初任者1人にかける校外研修の平均年間実施日数は▽小学校 15.0日(同0.7日増)▽中学校 14.9日(同0.6日増)▽高校 15.9日(同1.0日増)▽特別支援学校 15.5日(同1.2日増)――だった。
また、中堅教諭等資質向上研修の実施状況を見ると、研修の平均実施日数は▽小学校 20.3日(同0.1日減)▽中学校 20.4日(増減なし)▽高校 20.1日(同0.7日増)▽特別支援学校 20.0日(同1.0日増)――だった。中堅教諭等資質向上研修の実施時期について「複数年で設定した教職経験年数の者のうちから希望などに応じて実施」している教育委員会は47.3%と、昨年度より1.9ポイント増加した。