各国政府などが国民の公教育にかける予算の在り方を巡り、ユニセフ(国際連合児童基金)は1月17日、富裕層と貧困層で大きな格差が存在しているとする報告書を公表した。世界平均で政府の公教育予算の分配率は、最も裕福な層では28%だったのに対し、最も貧しい層では16%にとどまった。
公表された報告書「公平な資金配分による教育変革(原題:Transforming Education with Equitable Financing)」では、世界102カ国の就学前教育、初等中等教育、高等教育に対する政府支出のデータを調査した。
世帯が保有する資産によって学習者を5つのグループに分けたとき、2022年のデータで政府による公教育予算の平均分配率は、最も裕福な層は28%なのに対し、最も貧しい層には16%と、大きな差があった。この差は低所得国になるほど、より顕著だった(=表)。
報告書では、最も貧しい層への公教育予算の分配を1ポイント増やすことで、3500万人の初等教育年齢の子どもが、学習の貧困から抜け出せると指摘。
全ての学習者に教育リソースを行き渡らせるようにするためには、▽教育への公平な公的資金の投入▽基礎学習を優先した公的資金の配分▽開発援助と人道支援の状況に応じた公平な教育支援の配分のモニタリングと確保▽革新的な方法で教育を提供することへの投資――の4つが重要だと提言している。