文科省の「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」は1月26日、第7回会合をオンラインで開いた。報告書の素案が示され、「通級による指導を担当する教員の専門性の向上について、具体的な解決策や事例を示すべき」「通常の学級において特別な支援が必要な子どもは増えているので、特別支援教育コーディネーターの専任化が必要ではないか」など、活発な意見が交わされた。
報告書の素案は、これまでの検討会議における議論の内容を踏まえ、▽特別支援教育に関する校内支援体制の充実▽通級による指導の充実▽高校における通級による指導の充実▽特別支援学校の専門性を生かした取り組み━━についてまとめられた。
池田彩乃委員(山形大学地域教育文化学部准教授)は「通級による指導を担当する教員などの専門性の向上において、自立活動の専門性に係る問題点が指摘されているが、どうしていけばいいのか、解決策や具体的な方向性を示すべきではないか。例えば、地域によっては教員を中心に自立活動研究会というものが立ち上がっており、そういった事例を紹介してもいいのではないか」と述べた。
また、笹森洋樹委員(国立特別支援教育総合研究所発達障害教育推進センター上席総括研究員兼センター長)は、校内支援体制の充実について「通常の学級において特別な支援が必要な子どもは増えているので、特別支援教育コーディネーターの専任化ということが、そろそろ必要になってきているのではないか」と意見した。さらに通級の在り方について、「子どもの教育ニーズを考えると、他校通級は残しておくべきだと考えている。自校通級の先進的な取り組みとともに、他校通級の先進的な事例も載せるべきではないか」と話した。
梅田真理委員(宮城学院女子大学教育学部教育学科児童教育専攻教授)は、昨年12月に公表された「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」の結果に触れ、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒は、小中学校では8.8%いるということだが、その子どもたちを今すぐどこかの誰かにお願いすることは不可能だ。その子どもたちを通常学級でどのように指導していくのか。特別な支援を必要としている子も含めて、どのような学級運営や教科指導をしていくのか。担任の指導力の強化とともに、そうしたことを学校組織としてどのように支援していくかということを、最後にもう少し強く打ち出してほしい」と要望した。
小枝達也委員(国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長 こころの診療部統括部長)は、素案に付け加えてほしい点として、「インクルーシブ教育を進める中で、障害のある子どもの自己認識をどうするかという視点は欠かせない。学級で一緒に学んでいると、自分との違いに気付いていく子もたくさんいる。その時に、自分を卑下するのではなく、肯定的に捉えて、自分はこれでいいんだと思って育っていくことは、キャリア教育においてはとても大事だ。将来、自分は何をしていくのかというところにもつながっていく」と強調した。
これに対し、荒瀬克己座長(教職員支援機構理事長)も「そのキャリア教育の視点は非常に重要だ。検討していきたい」と答えた。