日本で生活する在留外国人が増加し、地域における日本語教育が課題となる中、総務省はこのほど、日本語教育のニーズ把握に向けた取り組みが自治体間でばらつきがみられ、必要な支援が求められるとする実態調査をまとめ、所管する文化庁に通知した。9都道府県と20市町村をそれぞれ抽出し、実態調査を行ったところ、2都道府県ではノウハウや人員不足により、域内のニーズ把握や体制整備に関する市町村への支援を行っておらず、20市町村のうち、在留外国人に対して日本語教育の個々のニーズ把握を行っていたのは4市町村にとどまっていた。
調査は2021年9月から23年1月にかけて実施。総人口が約10万~40万人程度で、かつ外国人人口が約1000人以上の20市町村を抽出し、日本語教育の取り組みを調査。合わせてその市町村が所在する9都道府県についても調査を行った。
その結果、9都道府県のうち7都道府県では、日本語教育の普及啓発やコーディネーターの活用促進など、市町村の取り組みを推進するための積極的な支援を行っていた一方、2都道府県ではノウハウや人員不足によって、日本語教育に関する域内のニーズ把握や体制整備に向けた市町村への支援を行っていなかった。そのうち1都道府県では、市町村の多くが日本語教育の支援は必要と認識していたり、ノウハウや人員不足の課題があったりすることを把握しており、中にはこれらの課題を解決するために都道府県の支援を求める意見もあった。
また、20市町村では、日本語教育を希望している外国人に対して、教室の立地や曜日・時間帯などの個々のニーズ把握を行っていたのは4市町村にとどまっていた。個々のニーズ把握が進まない理由としては、市町村で具体的に把握すべき内容が分からないといったことや、把握するためのノウハウがないことが課題に挙げられた。
これらの課題を踏まえ、総務省は1月20日、文化庁に対し、市町村の要望を踏まえた支援を都道府県が実施できるように、情報提供などの必要な支援をすること、市町村が個々のニーズ把握を的確に実施できるように、把握すべき具体的事項やノウハウについて情報提供を行うことを通知した。実態調査を行った自治体の中にはオンラインを活用した日本語教育の取り組みもみられたことから、今後、そうした自治体の実態や課題を把握し、支援方策を検討することも提言した。
総務省では1年後をめどに文化庁に通知の対応状況について回答を求める方針。