学校再開で起床が1時間早く 小中学生に長期休校の影響を調査

学校再開で起床が1時間早く 小中学生に長期休校の影響を調査
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 小中学生は新型コロナウイルスの感染拡大による長期休校の後、学校が再開されると、起床時刻が休校中と比べ1時間早まり、睡眠時間も1時間短くなっていたことが、東京大学の研究チームによる追跡調査から分かった。休校によって起床・朝食の時刻が遅くなっていた子どもたちは、学校再開後の睡眠習慣が大きく変化していた。

 東京大学未来ビジョン研究センターの杉本南特任助教、同学大学院医学系研究科の村上健太郎助教、佐々木敏教授による研究チームは、新型コロナウイルスの感染拡大で全国的に長期間の臨時休校となった後、学校が再開した2020年6月と、学校再開からしばらく経過した同7月~21年2月にかけて、14都道府県の47の学校・団体に所属する8~15歳の子ども4084人の睡眠や食事、運動などの生活習慣を追跡調査した。

 その結果、全体的に学校再開後に子どもたちの起床時刻は休校期間中と比べて1時間早くなり、睡眠時間は0.94時間短くなった。食事の摂取量をみると、学校再開後にはチアミン、ビタミンB6、カリウム、果物類、乳製品類が増加した一方で、砂糖・菓子類、清涼飲料類などは減少がみられたが、その他の食品・栄養素の摂取量に大きな差はなく、食事摂取量の変化は睡眠習慣に比べ小さかった。

 その上で、休校中の子どもたちの起床・就寝・食事の時刻パターンごとに、学校再開後の変化を比較したところ、7~8時ごろに起床し、8時ごろに朝食を取っていたパターンと、8~10時ごろに起床し、9~10時ごろに朝食を取っていたパターンでは、起床、朝食、昼食の時間帯が1~2時間以上遅くなっており、起床時刻、睡眠時間、清涼飲料類の摂取量の変化がより大きい傾向にあった。

 この調査結果について杉本特任助教は「学校が再開した後には、休校中と比べて、睡眠習慣が大きく変化している子どもが一定割合いる可能性が高い。学校再開後は、子どもたちの生活リズムが休校からどのくらい変化しているのか、それが健康面に影響していないかなどを調べて、影響が見られる場合は適宜ケアしていくことが必要かもしれない。また、学校の負担が大きいことからその後の継続調査は行っていないが、教育現場が客観的事実に基づいた信頼度の高い教育を実践していく上で、この種の調査はとても大切だ」と指摘した。

 研究成果は1月23日付で栄養学の国際学術誌『Journal of Nutritional Science』に掲載された。

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