病気や障害によって長期間療養を余儀なくされている子どもに対する学びの保障を巡り、文科省は来年度からオンデマンド型のオンライン授業も認める。高校生については1月26日から、2015年に定めた「高等学校等の病気療養中等の生徒に対するメディアを利用して行う授業に係る告示」の一部改正案についてパブリックコメントを実施中で、併せて長期療養中の小中学生や特別支援学校小学部・中学部の児童生徒に対しても、オンデマンド型のオンライン授業を受けた場合に指導要録上の出席扱いにすることを通知する。
高校や特別支援学校高等部などに在籍し、病気や障害などにより長期間欠席せざるを得ない生徒については、15年の告示で同時双方向型のオンライン授業が実施できるとされていた。しかし、事前に収録された授業の内容を生徒が見たいときに視聴するオンデマンド型のオンライン授業については、指定を受けて特別の教育課程を編成できる特例校だけでしか認められていなかった。長期入院中の生徒は病状や治療の状況によって、同時双方向型の授業に出たくても出られないときがあることから、告示を改正し、特例校制度によらなくてもオンデマンド型の授業を実施できることにした。
文科省では告示の改正に合わせて、通知で実施にあたっての留意事項を整理する予定で▽長期療養中の生徒に遠隔授業を実施する場合、同時双方向型の授業を原則としつつ、生徒の病状や治療の状況から配信側の授業時間に合わせることが難しいと判断した場合は、オンデマンド型の授業が可能であること▽グループ活動や演習などの活動はオンデマンド型の授業にしないこと▽同時双方向型の授業と同様に、オンデマンド型の授業でも対面による授業を相当の時間数実施すること▽長期療養中の生徒の生活や学習の状況を把握して、本人や保護者が必要としている支援を行うとともに、関係機関と積極的に連携すること▽生徒の学習状況に合わせた習熟度別指導などの工夫を行うのが望ましいこと▽学習評価では、定期的な訪問やオンラインによる面接、メールでのやり取りなどを通じて、動画の視聴や学習の状況を可能な限り把握し、課題提出などを工夫すること――などを求める考え。
さらに、義務教育である小学校や中学校、特別支援学校小学部・中学部の場合、現行制度では長期療養中の児童生徒に対して遠隔授業を行う場合、リアルタイムの授業配信で同時かつ双方向的なやり取りを行うことで指導要録上の出席扱いとされてきたが、これについても文科省は、オンデマンド型の授業配信でも指導要録上の出席扱いにすることなどを通知する。通知では、高校生へのオンデマンド型の授業配信の留意事項に加えて、児童生徒の発達段階を踏まえ、学校が保護者や医療機関と連携してオンデマンド型の授業の可否を適宜判断するなどの要件を示すとしている。
告示の改正案は2月25日まで、e-Govで意見を募集している。