岸田政権の重要政策として掲げられた少子化対策の一つとして、児童手当の拡充が国会で議論される中、保護者らによる児童手当や障害児に関する手当、福祉サービスの利用などの所得制限撤廃を求める会見が2月3日、オンラインで開かれた。子どもの貧困問題などに詳しい末冨芳日本大学教授は「親がたまたま稼げる環境にあるだけで、子どもたちに被害が出ている」と、所得制限の問題を指摘した。
会見は保護者らで構成される「子育て支援拡充を目指す会」と「こどもまんなか障害児福祉を望む親の会」の合同で開催。子育て支援制度の量的拡充と質の向上の実現を目指す「子育て支援拡充を目指す会」は、同会のメンバーが横浜市民を対象に行ったアンケートを紹介し、高校授業料の無償化や大学費用の補助の充実など、教育費の負担軽減を求める声が多いことを強調。高校や大学の教育費の負担軽減に向けた政策は進んでいるものの、児童手当や高等学校等就学支援金制度などは所得制限があるため、高所得世帯の負担は以前よりも大きくなるケースがあると問題提起した。
また、「こどもまんなか障害児福祉を望む親の会」も、例えば障害児が使う車椅子や補聴器などの購入に関する助成、放課後等デイサービスの利用料、医療費など、さまざまな障害者福祉に関する制度に所得制限が設けられていると指摘。
同会代表の八田千尋さんは「少子化の問題は取り組まなければいけないが、まずは子どもの人権、就学の権利、必要なものをちゃんと使える権利、健やかに育てていくための権利の保障に向けて、数だけではなく困っている子どもが実際にいることを踏まえた議論をしてほしい」と訴えた。
会見に参加した末冨教授は「親がたまたま稼げる環境にあるだけで、子どもたちに所得制限がかけられている。親の所得であるにもかかわらず、子どもたちに被害が出ている」と話し、こども基本法の施行を視野に、子どもの権利に基づいた制度に変えていく必要性を呼び掛けた。