自治体の学力調査にMEXCBT活用 来年度6市町村で検討

自治体の学力調査にMEXCBT活用 来年度6市町村で検討
iStock.com/LisLud
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 文科省の「教育データの利活用に関する有識者会議」は2月6日、第16回会合を開き、文科省のCBT(コンピューター使用型調査)システム「MEXCBT(メクビット)」を活用して、自治体が独自に実施している学力調査の連携を図る方策について議論した。文科省は、質の高いシステムを低コストで利用できる、作問やデータ分析のノウハウを共有できるなどの利点を挙げる。来年度に向けて6つの市町村で実施の準備が進んでいるといい、文科省の担当者は全国の自治体に対し、活用を検討するよう呼び掛けた。

 文科省によれば、現在約900の自治体で独自の学力調査が実施されているものの、ほとんどが紙での実施で、今後CBT化を検討する際に「地方自治体ごとに別々のシステム・データ形式などにすると、ノウハウや知見が散逸してしまう」と指摘。MEXCBTを活用することで▽セキュリティーの高いシステムの手軽な利用▽低コストでの利用▽正確なアセスメント▽作問やデータ分析ノウハウの共有――が可能になるという利点を挙げた。

 今回の会合では、MEXCBTを使って昨年12月、市内の全小中学生を対象に独自の学力調査を実施した福岡県春日市教委の担当者が報告。2020年度に学力調査のCBT化の検討が始まり、21年度には試行的にグーグルフォームを用いて実施していた。MEXCBTの活用では、「問題にチェックを入れておくと、即時に戻ることができる」「下部スクロールをしなくてよい」という利点があったという。

 教育委員会では正答・誤答の人数などを集計して可視化し、個に応じた支援が必要とされる児童生徒を把握したり、「どこから分からなくなったのか」「どの問題・領域・単元が分からないのか」「どのような学び方がよいのか」といった支援を検討したりできるようにした。今後は教科数の拡大を予定している一方、課題としてCBTに合った作問の工夫、紙のテストとのすみ分け、他のデータとの連携などを挙げた。

 文科省によれば、MEXCBTを活用した自治体独自の学力調査のCBT化は、今年度4つの都道府県・3つの市町村で実施・施行されており、来年度に向けてはおよそ6つずつの都道府県・市町村で具体的な準備が進んでいるという。有識者会議の座長を務める堀田龍也東北大学大学院情報科学研究科教授は「日本の子供たちはCBTで試験を受けるという経験値が少ない。こうした取り組みが全国に広がっていくことが重要だ」と指摘した。

 また戸ヶ﨑勤委員(埼玉県戸田市教育委員会教育長)は「CBTとPBT(紙での調査)で、測定結果にどう違いが出るかも検証が進むとよい。また、知識・技能だけでなく思考力・判断力・表現力の観点、見方・考え方の習熟度を、CBTでどう評価するかについても喫緊の課題として検討を進めていく必要がある」と語った。

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