複数の企業が協力して、小学生に仕事の面白さや働く意味を伝えるキャリア教育の授業が、東京都杉並区立杉並第一小学校(山口祐美子校長、児童346人)で行われている。2月10日に開かれた2回目の授業では、参加した企業の社員とオンラインでつながり、6年生の児童が仕事について「取材」する活動が行われた。
授業は、求人サービスなどのサイトを運営するディップが中心となり、3回に分けて仕事への理解やキャリア観を育成する「バイトルKidsプログラム」を活用。この日の授業では、プログラムに賛同・協力している企業について、動画などを見て仕事内容の予想や疑問を考えてきた児童が、実際にそこで働いている社員に次々と質問を投げ掛けていた。
集英社を取材したグループでは、児童が仕事で大切にしていることについて尋ねると、少女漫画の編集者が「読者の気持ちになること。読者に面白いと思ってもらえるような題材を選んだり、記事ならば読みやすい表現にしたりする。二十歳を超えた大人だけれど、小中学生の気持ちになって本をつくるのが大事」と説明。続けて別の児童から「この仕事を選んだきっかけは?」と質問されると、「もともと本が大好きだったということもあるが、大人になっても仕事中に漫画を読みたいなと思い、そんな仕事って何だろうと思ったら編集者だった」と照れながら答えていた。
三井住友銀行を取材したグループは、法人営業担当の社員に「会社で学べることは?」と質問。「コミュニケーションスキルも身に付くし、法律やお金周りのことを財務というが、そういうお客さまの成績を見て良し悪しを判断する力、新しいことを企画する力も銀行を通じて学ぶことができる。例えば新規ビジネスの相談をもらったり、銀行とお客さまのサービスを活用して新しいビジネスをつくったりすることもある。実際に三井住友銀行では30代で子会社の社長になる人もいる。そういうビジネスの世界に必要なあらゆることが学べる」と、仕事の奥深さを分かりやすく語っていた。
人事の仕事について取材していた児童は「父が人事の仕事をしていたことがあり、興味があった。採用を担当するのが主な仕事だと思っていたが、それ以外にも給与の計算など、さまざまな仕事があることが分かった。職場も楽しそうだった」と感想を話していた。
児童らは次回の授業で、取材した内容を踏まえ、将来の仕事やなりたい姿を発表するという。