東京都三鷹市内の小中学校の教員による政策提言発表会が2月14日、同市内で開かれた。市内22校から校長の推薦により1人ずつが参加し、昨年5月から5回のワークショップ、夏休み中の熟議を経て、5つのグループが提言をまとめた。発表会には同市教委の貝ノ瀨滋教育長をはじめ、教育委員会関係者や校長らが参加。各グループの発表では、「児童生徒や教員のウェルビーイングの実現」「地域人材との協働」など、子供たちとのより良い関わりと、教員の働き方改革の両立を目指す提言が多く聞かれた。
三鷹市では2024年度改訂予定の次期教育ビジョンに向け、21年8月、地域に関わりの深い人材や有識者などでつくる研究会が、今後の教育に関する最終報告を取りまとめた。それと同時に、同市教委では「政策を学校現場に落とし込んでいくにはどうすればよいか、先生との対話を通して、現場の視点で政策の内容を深めていきたいと考えた」(同市教委事務局教育政策推進室)といい、それが今回の政策提言ワークショップの開催につながった。
今回の発表会で、各グループに共通して聞かれた提言は、児童生徒や教員のウェルビーイングの実現に関するもので、「年間の(繁忙期とそれ以外の時期の)仕事量を標準化するため、始業式などの日程を見直す」「3学期制から2学期制に変更し、成績処理や定期考査の回数を減らす代わりに、個人面談を充実させる」「学校プールの管理を民間企業に委託し、指導員による専門的な指導を受けられるようにする」など、働き方改革を進めながら、児童生徒への指導や支援を充実させるための提言が数多く出された。
また、同市が学校と地域の協働に力を入れてきたことを踏まえ、「教育委員会に人材バンクを設置し、優れた知識や技能を持つ多様な人材を学校教育に活用する」「地域人材や民間企業などの活用を通じて、音楽や料理などのクラブ活動、科学教室や学習塾などの取り組みを行う」といった提言のほか、こうした施策を支える財源について、「学校判断で柔軟な予算編成を可能にする」「クラウドファンディングや寄付を活用する」などの提言もあった。
各グループの発表を聞いた貝ノ瀨教育長は「各グループがウェルビーイングの実現を取り入れていることは本当にうれしい。やはりそれが今のキーワードであり、ぜひそこは押さえながら、具体的な活動や取り組みにつなげてほしい。(提言のうち)今すぐできること、少し時間がかかること、市でやらなければいけないこと、学校現場でできることを(それぞれ)考えて、ぜひ実現を目指してほしい」と語り掛けた。