犯罪行為として取り扱われるべき重大ないじめ事案について、直ちに警察に通報・相談することを求める通知を文科省が発出したことを巡り、永岡桂子文科相は2月21日、衆議院予算委員会第4分科会で「学校と警察の日常的な情報共有体制の構築は、いじめの対応において、学校が一丸となった組織的な早期発見・早期対応に資するものであり、大変重要である。通知の周知と合わせて、各自治体の好事例を収集して横展開を図るなど、学校現場への浸透を図っていきたい」と述べ、通知に示された対応の徹底を求めていく意向を示した。掘井健智議員(維新)の質問に答えた。
いじめ問題で警察との連携を求める通知は2013年、19年にも出されているが、今月7日に文科省が改めて通知を発出した理由について、同省の藤原章夫初等中等教育局長は「一部のケースでは、学校および学校設置者が法律に基づいた対応を徹底しておらず、被害を受けた児童生徒がいじめを苦に自殺するなど、最悪のケースを招いた事案も発生している。これまで、ややもすれば生徒指導の範囲内と捉えて対応し、警察に相談・通報することをためらっているというケースが指摘されている」と説明した。
関連して、学校が警察に相談・通報する際のマニュアルを整備すべきではないかと問われた永岡文科相は、今回の通知の中で「(相談窓口となる)学校・警察連絡員の指定の徹底、学校警察連絡協議会などの活用、スクールサポーター制度の積極的な受け入れの推進など、実施するに当たって留意すべき事項について、項目ごとに具体的な内容を周知している」と答弁。「今回出した通知の周知と合わせて、各自治体などにおける好事例を収集し、横展開を図るなどして、学校現場への浸透を図っていきたいと考えている」と強調した。
さらに、いじめの加害者への対応を問われた永岡文科相は、「加害児童生徒への指導に当たっては、特別の指導計画による指導のほか、出席停止や警察との連携による措置も含め、毅然(きぜん)とした対応を行うことで、自らの行為の悪質性を理解させ、健全な人格の発達に配慮するよう示している」と説明した。
また「加害児童生徒本人への指導に加えて、その保護者にも、いじめに関する事実を伝えて協力を求めるとともに、継続的な助言を行うことを示している。法務省管轄の法務少年支援センターでは、学校や保護者に対して、児童生徒の心理や性格の面で相談や支援、また問題行動の分析や、指導方法の提案なども行っており、こうした地域の関係機関についても、先日出した通知で活用を促したところだ」と述べた。
文科省は「いじめ防止対策に関する関係府省連絡会議」や「いじめ防止対策協議会」での検討を踏まえ、今月7日、犯罪行為として取り扱われるべきものなど重大ないじめ事案について、直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めることとする通知を、都道府県・政令市教委などに向けて発出。学校で起こりうるいじめのうち、警察に相談・通報すべきものを具体的に例示するとともに、判断に迷う場合などに備え、日常的な情報共有体制を作ることなどを求めていた。