校務の情報化「教員が働きやすくなるために」 最終まとめ

校務の情報化「教員が働きやすくなるために」 最終まとめ
オンラインで行われた専門家会議の最終回
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 文科省の「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」は2月24日、最終となる第11回会合を開き、修正された最終まとめ案について各委員が協議した。今回出された意見などを踏まえ、堀田龍也座長(東北大学大学院情報科学研究科教授、東京学芸大学大学院教育学研究科教授)が修正・追加などを行い、中教審の初等中等教育分科会で報告される予定となっている。

 最終まとめでは、▽校務処理の多くが職員室に限定され、柔軟に働くことが困難▽教委ごとにシステムが大きく異なり、人事異動の際の負担が大きい▽校務支援システムの導入コストが高く、小規模な自治体の教委で導入が進んでいない▽学習系データと校務系データとの連携が困難――などが、現在の校務情報化の課題として整理されている。

 その上で、次世代の校務DXについて、働き方改革、データ連携、レジリエンスの3つの観点から方向性を整理。今後、取り組むべき施策として、①次世代の校務DXのモデルケースの創出等②「次世代の校務DXガイドライン」(仮称)の策定等③「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂④過渡的な取り組み⑤校務の情報化に向けた財政支援の在り方――を挙げている。

 前回1月の会議において出された意見を反映した最終まとめ案について、委員からは「学校がやるべきこと、教委がやるべきこと、自治体がやるべきことなどが明確になった」など、おおむね高い評価を得たが、複数の委員から「これをどう学校現場や市区町村まで、しっかり伝えていけるか」という懸念が示された。

 清野正委員(東京都足立区立東綾瀬中学校校長、全日本中学校長会総務副部長)からは「学校現場からすると、また新しいものが下りてきたという負担感だけ感じてしまわないか危惧している。この趣旨がきちんと伝われば教員も勇気づけられると思うので、各学校や市区町村までしっかり伝わるようにお願いしたい」と強く要望した。

 また、今井亜湖委員(岐阜大学教育学部教授)は「よく読めばしっかり理解できる内容だが、パッと見たときに専門用語なども多く、拒絶反応を示す人も多いのではないか。一つ一つの課題がどう解決されていくのかというのを、例えば誰が見ても分かるような短い動画で作れないだろうか」と提案した。

 妹尾昌俊委員(教育研究家、ライフ&ワーク代表理事)は「これまではトラブルや事故を恐れ、どんどんセキュリティーを厳しくして利活用が進まないという流れがあった。今後は教委や学校の挑戦と試行錯誤を応援していけるような、環境整備や施策を作り上げていくことが課題ではないか」と投げ掛けた。

 こうした意見を踏まえ、堀田座長は「校務支援システムや学校のネットワーク環境は、便利になるために入れているはずが、かえって先生方を働きにくくしている事例もあった。令和の日本型学校教育において、先生方にはこれからさらに高度な学習指導や、多様な児童生徒への対応が求められていく。そうである以上、校務DXで少しでも先生方を働きやすくすることは、最重要の命題だと考えている」と述べ、「多くの民間企業などでも使われているようなテクノロジーを学校現場にも適用すれば、先生方は随分と働きやすくなる。校務についてもGIGAスクール構想と同様の考え方で進めていく」と締めくくった。

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