新型コロナウイルスの感染拡大による保育所の臨時休園や登園自粛要請で子どもの世話をしなければならない場合などに取得できる「特別休暇1号」で、教職員による不適切な申請があったとして、川崎市教育委員会は2月24日、市立中学校に勤務する教員らの懲戒処分を公表した。市が職員に対して行った「特別休暇1号」の取得状況に関する調査で不正取得が確認された職員のうち、9割近くを学校の教職員が占めていた。
川崎市が2022年5月に、この「特別休暇1号」を30日以上取得した職員について調査したところ、不正な取得が確認されたことから、さらに「特別休暇1号」を1日以上取得した職員を対象に、22年11~12月に追加調査を行った。その結果、合計で29人の不正取得が確認され、26人が学校の教職員だった。
そのうち、宮前区内の市立中学校の女性教諭は20~21年度に保育所からの登園自粛要請に応じるため、「特別休暇1号」を計74日分申請したが、そのうち36日は、子どもを保育所に預けて出勤するなどしていた。「特別休暇1号」は、必要と認められる時間を申請できると知っていたものの、面倒に思い1日単位での申請を繰り返すなど、申請手続きの事務的過失の程度は大きいとされ、戒告となった。
同じく、多摩区内の市立中学校の女性教諭は、長男の保育所からの登園自粛要請に応じるため、21年8月23~25日までの3日間の「特別休暇1号」を申請していたが、実際は長男を保育所に預けた上で、教諭本人と長女のための通院に利用。同区内の市立小学校の男性事務職員も21年8月16~17日、19日に長女の保育所からの登園自粛要請に応じるためとして「特別休暇1号」を申請したが、実際には長女を保育所に預け、体調不良の次男の看護に利用していた。いずれも虚偽の申請により休暇を不正に取得しようとする意図が認められるとして、戒告とした。
戒告となったこの3人の教職員に加え、申請手続きの際の修正漏れなどの事務的過失があり、文書注意とされた教職員は、「特別休暇1号」の取得日で勤務していない時間の給与を減額されるなどした。
処分の公表に合わせて小田嶋満教育長は「児童生徒や保護者、市民の皆様からの、川崎の教育への期待を裏切る重大な事態であると認識しており、関係者には猛省を促すとともに、教職員の綱紀の保持及び服務規律の一層の確保に向けて、今後、日々の教育活動の更なる充実に努める」とのコメントを発表。市教委の担当者は「ほとんどの学校では適正に処理されていたが、不適切な処理を行った学校では、制度理解が不足していた。周知が十分ではなかった」と説明している。