障害児通所支援の今後の方向性について協議してきた厚労省の「障害児通所支援に関する検討会」は2月24日、第10回会合をオンラインで開き、これまでの議論をまとめた報告書案を検討した。前回会合で示された素案から、放課後等デイサービスと放課後児童クラブ(学童保育)の交流促進などが新たに加えられ、よりインクルージョンを進めていく方向性が打ち出された。
報告書案は前回会合で検討された素案をベースに、構成員の意見などを反映。これまでの障害児通所支援を巡る議論の経緯を整理した「はじめに」や、報告書を基に関連する施策の充実を求めた「おわりに」が新たに書き加えられた。
特に、児童発達支援センターについては、地域におけるインクルージョン推進の中核としての機能を果たすことが期待されるとし、子どもや保護者の意向を受けて個別的な支援を通して学校や保育所として障害児を受け入れる力を付けていく「保育所等訪問支援」や、保育所や学校全体に対して、インクルージョンが推進されるための環境をつくれるように働き掛けることで、学校や保育所が障害児を受け入れる力を付けていく「スーパーバイズ・コンサルテーション」によって、保育所や学童保育における障害児の育ちの支援に協力しながら、保育所などへの移行や並行通園を推進していくことが重要だと新たに打ち出した。
また、学童期のインクルージョンを推進していくために、放課後等デイサービスと学童保育の交流を促進していく重要性も追記された。これについて、井上雅彦構成員(鳥取大学大学院医学系研究科教授)は「放課後等デイサービスと放課後児童クラブとの交流を促進するというだけではなくて、交流を通してユニバーサルな環境づくりを促進する、推進するといったように、もう少し踏み込んでいただけるとよいと思う」と述べ、インクルージョンの実現に向けた追記を提案。
又村あおい構成員(全国手をつなぐ育成会連合会常務理事・事務局長)も賛同し、「少なくとも公的な仕組みとして学童保育以外に放課後子供教室がある。こちらは文科省の管轄なので入れにくいかもしれないが、『など』としてもいいので、限定的にせずに、学童保育以外の放課後の過ごす場との連携が読み取れるような書き方にしてほしい」と、さまざまな放課後の居場所との連携を含む表現にするよう求めた。
検討会は3月に行われる次回会合で、報告書を取りまとめる見通し。