22年出生数、初めて80万人割れ 現小1の出生数より2割減

22年出生数、初めて80万人割れ 現小1の出生数より2割減
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 厚労省は2月28日、2022年1月から12月までの出生数(速報値)が、前年比4万3169人(5.1%)減の79万9728人となり、過去最少となったと発表した。出生数の減少は7年連続。現在の小学1年生(15年・16年生まれ)の出生時点の人数より、約2割減少した。コロナ禍により結婚・出産が制約されたことが背景の一つにあるとみられ、小倉将信こども政策担当相は同日の閣議後会見で「社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況」と危機感をあらわにした。

 

 厚労省の人口動態統計速報(22年12月分)によれば、出生数が過去最少となる一方、死亡数は158万2033人(前年比8.9%増)で過去最多となり、自然増減幅は78万2305人減と、過去最大の減少となった。コロナ禍で減少が続いていた婚姻件数は51万9823組(同1.1%増)と3年ぶりに増加した。

 国立社会保障・人口問題研究所が17年に行った日本の将来推計では、基本的な仮定となる出生中位の場合、出生数が80万人を割るのは33年と予測されていたが、それより11年早く少子化が進行したことになる。

 厚労省の担当者は「新型コロナウイルスの流行で結婚・出産が制約され、出生数に歯止めがかかったことは一つの要因として考えられる。婚姻件数は3年ぶりに増加したが、状況が好転したのかどうかは、引き続き注視する必要がある」と説明する。

 政府は今年1月、22年の出生数が80万人を割ることを見据え、「こども政策の強化に関する関係府省会議」を発足させた。同会議では児童手当など経済的支援の拡充、幼児教育・保育サービスの強化などについて検討し、こども家庭庁発足前の3月末をめどに具体策のたたき台をまとめる。

 小倉担当相は同日、深刻化する少子化について「まさにわが国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれていると認識している。引き続き当事者の意見にしっかりと耳を傾けながら、これまでの課題を一気に前進させて、子育て世代のさまざまな先行きに関する不安、これを払拭(ふっしょく)できるようなパッケージを示すことができるよう努力を続けていきたい」と話した。

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