学校施設の安全点検「外部に見てもらうことも必要」 永岡文科相

学校施設の安全点検「外部に見てもらうことも必要」 永岡文科相
閣議後会見で質疑に応じる永岡文科相
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 学校の施設・設備に関わる安全点検体制の問題点を指摘した消費者安全調査委員会(消費者事故調)の調査報告書を受け、永岡桂子文科相は3月7日の閣議後会見で、「教職員の負担を配慮して、実効性ある取り組みを速やかに検討していきたい」と述べ、近く有識者会議を開いて対応策をまとめる考えを表明した。あわせて「学校の教員は、子供たちと教室にいることが日常になっており、危険性に気付きにくいこともあると思う。外部の人から『ここが危険だよ』と見てもらうことも必要ではないか」と話し、遊具や建築の専門家など外部の人材による安全点検が有効になるとの見方を示した。これに先立ち、文科省は、報告書に記載された危険事例を参考にして、春休みに教室のレイアウトを変更するなどの対応を行うよう都道府県・政令市の教育委員会などに周知した。

 調査報告書は3月3日付で消費者安全調査委員会が公表した。学校現場の安全点検体制の問題点などを分析した上で、文科省に対して学校における施設や設備の安全点検の手法を改善するとともに、死亡事故が発生する可能性のある危険箇所の緊急点検の実施を求めている。また、学校現場で科学的・効果的な安全点検の手法が標準化されていないとして、勤務実態を踏まえた教職員が担うべき安全点検の範囲の適正化や、安全点検を行う外部の専門人材の確保など学校現場への支援が必要だと指摘した。

 文科省は同じく3月3日付で調査報告書を都道府県・政令市の教育委員会などに周知するとともに、「事故の発生可能性のある箇所について、緊急的な対策が必要」と指摘。消費者安全調査委員会の訪問調査で見つかった棚やロッカーの配置や窓際の机の重ね置きなど危険事例を参考にしながら、転落・落下の可能性のある箇所について、春休み期間中に教室のレイアウトを変更するなどの対応を行うよう要請した。

 記者会見で調査報告書への対応を問われた永岡文科相は、まず「子供たちの生命と身体の安全確保、これは最優先に取り組むべきと考える」と指摘した。学校の安全点検の手法の改善や危険箇所の緊急点検の実施など、調査報告書に盛り込まれた意見への対応については、「有識者から専門的な知見をもらいながら、教職員の負担を配慮して、実効性ある取り組みを速やかに検討していきたい」と説明。文科省が22年11月に新たに設置した「学校安全の推進に関する有識者会議」を開催して有識者の意見を聞きながら、対応策をまとめる考えを示した。

 その上で、「(調査報告書には)教員の負担にならないように、との配慮もあったが、学校の教員は、子供たちと教室にいることが日常になっている。そこで危険性を見抜くのは、あまりにも日常のことなので気が付きにくいこともあると思う。外部の人から『ここが危険だよ』と改めて見てもらうことも必要なのかなと思っている」と述べ、調査報告書が安全点検の改善策として求めた外部人材の活用促進に文科省としても取り組んでいく姿勢をみせた。

 文科省では、今後、「学校安全の推進に関する有識者会議」を数回開き、調査報告書の意見への対応策をまとめる考え。外部人材の活用については「学校の施設・設備に関わる安全の確保は、学校の教職員が基本的に担うもので、それを外部人材に任せるという発想ではない。教職員では気付かなかったり見逃したりしているところを専門的な知見のある外部の人材に意見してもらえるような取り組みを進め、実効性のある安全確保を図っていきたい」(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室)と説明している。

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