自校通級や巡回指導、高校通級を充実 検討会議が報告書公表

自校通級や巡回指導、高校通級を充実 検討会議が報告書公表
iStock.com/melitas
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 文科省が設置した「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」は3月13日、これまでの9回にわたる会合での議論を取りまとめた報告を公表した。報告では自校通級や巡回指導の充実、高校での通級指導の充実、特別支援学校による小中高の支援、特別支援学校と小中高によるインクルーシブ学校運営モデルの創設などの方向性を盛り込んだ。文科省は同日、各都道府県・政令市教委などに対し、こうした具体的な方向性を踏まえた取り組みを進めるよう通知した。

 報告では、通常の学級に在籍し、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒数の割合は、小中学校で推定値8.8%、高校で同2.2%という結果が文科省の調査で明らかになったことを踏まえ、「全ての学級に特別な教育的支援が必要な児童生徒が在籍している可能性がある」と指摘。支援の対象とすべき児童生徒について幅広く把握し、必要な支援に組織的に対応する校内支援体制の充実を求めた。

 また通級による指導では、「本人や保護者が仕組みや意義などを理解した上で、指導を受けることが重要」と指摘。「児童生徒が慣れた環境で安心して受けられるよう、自校通級や巡回指導を促進する」としたほか、高校についても「潜在的な対象者数も踏まえた、教員定数措置を含めた指導体制などの在り方を検討する」とされた。

 さらに、特別支援教育についての専門的な知見や経験を持つ特別支援学校から、小中高校に対する支援を充実させること、特別支援学校と小中高校の2校以上で連携し、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が交流や共同学習を発展的に進める「インクルーシブな学校運営モデル」を創設することなどが提言された。

 文科省は通知の中で、同省として「障害者権利委員会における勧告の趣旨などを踏まえ、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が可能な限り共に学ぶための条件整備をはじめ、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、連続性のある多様な学びの場の整備を着実に進め、本報告に示された具体的な方向性の実現を図るべく関連施策などの充実に努める」として、教育委員会や学校などの協力を求めた。

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