生活リスクに関する授業 必要性感じるが実施は半数程度

生活リスクに関する授業 必要性感じるが実施は半数程度
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 高校生に対して、生活におけるリスクを授業で行う必要性があると感じている教員は増えているものの、新しい教育課程に移行しつつある2022年度に、実際に実施している割合はあまり変わっていないことが、日本損害保険協会が3月15日に発表した調査結果で明らかとなった。リスクや損害保険に関する生徒の理解度について、「十分理解・認識している」と答えた割合は、どの項目も前回調査より低下していた。

 調査は、高校の新学習指導要領への移行や成年年齢の18歳引き下げを踏まえ、損害保険に関する高校での教育の実態を把握するために実施しており、昨年に続き2回目となる。全国の高校の中から5006校を抽出し、昨年12月15日から今年の1月17日に、公民科の教員と家庭科の教員にアンケートを配布し、公民科の教員864件、家庭科の教員1109件の有効回答を得た。

 その結果、22年度に金融経済教育を実施していると回答した割合は、全体で74.2%に上り、教科別では、公民科が53.6%、家庭科が90.3%と、家庭科の方が実施率が高かった。具体的な内容では、公民科の場合は「株式・債権・投資信託」(77.3%)や「クレジット・ローン」(62.0%)が多く、家庭科では「クレジット・ローン」(91.7%)や「預貯金」(61.5%)が目立った。

 事故や病気、失業、災害などの生活におけるリスクに関する教育を実施していると答えたのは、全体で54.0%(前回調査比1.2ポイント増)と過半数を占めたが、実施していないと回答した割合も35.7%(同4.1ポイント増)あった。実施している割合を教科別にみると、公民科は30.7%(同1.3ポイント減)なのに対し、家庭科では72.0%(同3.6ポイント増)と、公民科では実施率が微減したが、家庭科ではやや増加した。生活におけるリスクに関する教育の授業について、「ある程度必要である」と答えたのは53.1%(同1.9ポイント減)、「必要である」は43.1%(3.3ポイント増)で、ほとんどの教員が必要性を感じており、その傾向は強まっていた。

 リスクや損害保険に関する生徒の理解度を尋ねてみると、「十分理解・認識している」と答えた割合は、「日常生活において様々なリスクが存在すること」が12.7%(同11.5ポイント減)、「リスクの発生頻度」が3.4%(同3.5ポイント減)、「リスクが現実となった場合の必要負担額」が3.1%(同4.1ポイント減)などと、軒並み前回調査よりも減少していた。

 これらの生徒の理解度の認識について、同協会の担当者は「前回調査は家庭科の教員の回答割合が高く、今回は公民科の教員も多く回答していることによる影響があるかもしれない。また、22年度から新教育課程になり、教員の認識が改まったことも推測される」とみている。

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