経済的な困窮やヤングケアラーがいるなど、生活をしていく上での困難を抱えている子育て世帯で、4割超が中学校や高校の卒業・入学準備にかかる費用を借金していると答えていたことが、国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが3月22日に発表した、給付金の申請者を対象にした調査結果で明らかとなった。前回調査よりも1割ほど増えており、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、物価高騰が影響しているとみている。
調査は昨年に続き2回目で、1月18日~2月8日に、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが行っている「子ども給付金~新入学サポート2023」の申請をした1815件の回答を分析した。同給付金は▽22年度非課税世帯又は児童扶養手当全部支給世帯、家計急変の世帯など、定める収入条件を満たしていること▽子どもや同居する家族に疾病や障害があること、子どもが日常的なケアを行っていること、子ども・保護者が日本語でのコミュニケーションが困難な状況であること、子ども・保護者の在留資格が不安定、無国籍などの理由で公的支援が利用できないことなどのいずれかに当てはまること▽卒業・入学に関わる費用の用意が難しい――といった条件を満たしている場合に、子ども1人当たり新中学1年生で3万円、新高校1年生で5万円を給付する。
卒業・入学の準備にかかる費用のうち、どのような費用を用意するのが難しいかを複数回答で尋ねたところ、前回調査に引き続き、最も多かったのは制服代で、新中1では81.6%、新高1では77.1%に上った。
これらの費用をどのようにねん出する予定かを複数回答で尋ねると、最も多かったのは就学援助制度の利用で、新中1では62.8%、新高1では50.5%だったが、家族・親族からの借入(新中1は23.0%、新高1は25.6%)やクレジットカードによるキャッシング(新中1は12.4%、新高1は14.4%)など、借入や借金をせざるを得ない人は4割を超えた。前回調査ではこの割合は3割程度であり、増加の背景についてセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、物価高騰の影響が推察されると分析している。
自由記述からは「コロナの影響でこの3年間収入は低いままであり、また昨年からの急激な食費負担増や光熱費高騰により、実質の生活水準全般が低下する一方であり、貯蓄や蓄えもすでに尽きている」(新中1の父親)、「現状、健康上で、働くことが困難な状況で、無職の為。物価高騰の影響により、新入学用品の値上げ。うちの場合は、旦那からの養育費、今まで、1円もないので…本当に、厳しいです」(新中1の母親)、「躁うつ病により働く事ができず、児童扶養手当と児童手当で家族4人でやっとの生活をしている為、就学援助の新入学準備金も申請しておりますが、制服や運動着の値上げもあり、就学援助だけでは入学に必要な物がそろえられないので応募させてもらいました」(新中1の父親)など、物価高騰の影響を裏付ける声も複数寄せられている。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは調査結果を踏まえて、低所得世帯向けの特別給付金の迅速な提供や、学校側の就学に関する私費負担軽減のための見直し、高校入学前の準備金の提供、全自治体における就学援助制度の入学前支給の導入などを提言している。