消費者教育の推進に関する法律に基づき、政府が定める「消費者教育の推進に関する基本的な方針」について、前回の変更から5年が経過することを受け、2023~29年度の7年間を対象とした新たな基本方針が、3月28日に閣議決定された。成年年齢の引き下げやデジタル化に伴う消費者トラブルなど、新たな課題が生じていることを踏まえ、基本的視点として「『教えられる』だけでなく、消費者による自ら及び相互に『学ぶ』『考える』『行動する』ことの促進」を重視することが打ち出された。
基本的な方針では、消費者を取り巻く環境の変化として▽消費者の多様化(22年4月の成年年齢引き下げなど)▽デジタル化の進展▽持続可能な社会実現に向けた機運の高まり▽自然災害などの緊急時対応(コロナ禍における不確かな情報の拡散など)――を指摘。
こうしたことから「『教えられる』だけでなく、消費者による自ら及び相互に『学ぶ』『考える』『行動する』ことの促進、若年者など多様な消費者の特性を踏まえたきめ細やかな対応、デジタル化への対応、消費者市民社会の一員としての行動の促進――を、今期の基本方針における基本的視点とした。
学校での消費者教育については、学習指導要領で消費者教育に関する内容が充実されていることを踏まえ、「学習指導要領の趣旨や内容の周知・徹底を図り、社会科や家庭科を中心に各教科等において充実した消費者教育が行われるように努める」と明記。消費生活相談員や弁護士、司法書士などの外部講師を招いた教育を促したほか、デジタル環境を生かした教材の提供も重要だとした。
また「学校の教職員には、消費者教育の推進役としての役割がある」として、教員養成課程や教員研修に消費者教育に関する内容を積極的に取り入れる必要があるとした。特に現職の教員研修では、消費者行政部局や消費生活センターなどとの連携によりいっそう効果的に実施できるとし、(独)国民生活センターの研修の活用や、プログラムの改善などを進めるとした。