LGBTQ+のユース世代 体育の授業でネガティブな気持ちに

LGBTQ+のユース世代 体育の授業でネガティブな気持ちに
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 東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、LGBTQ+などの性的マイノリティーへの理解を広めようと立ち上がったプロジェクト「プライドハウス東京」はこのほど、ユース世代のLGBTQ+の人に行った、体育の経験に関するアンケートの結果を公表した。LGBTQ+の人は、体育の授業でスポーツに参加してポジティブな気持ちになりにくく、教員・同級生の言動や運動の際の服装・グループ分けで男女別にされることに対して、嫌な気持ちを抱く傾向にあった。

 アンケートは昨年11月9日~12月11日に、18~29歳の人を対象にインターネットで実施。838人が回答し、そのうち、生まれたときの性別と自認する性が一致し、異性を愛するシスヘテロの人は82.8%、LGBTQ+の人は17.2%だった。アンケートでは、各質問に対して「まったくあてはまらない」を1とし、「とてもあてはまる」までの4段階で尋ね、シスヘテロの人とLGBTQ+の人の回答の平均値を比較した。

 その結果、体育でスポーツに参加してポジティブな気持ちになるかでは、シスヘテロの人は3.20だったのに対し、LGBTQ+の人は2.66、体育で行うスポーツは、自分らしくいられる手段であると感じるかでは、シスヘテロの人は3.15なのに対し、LGBTQ+の人は2.56と、LGBTQ+の人はシスヘテロの人と比べて、体育やスポーツでポジティブな感情を抱きにくいことが分かった。

 反対に、体育の授業中は、他の時間に比べて、不安を感じたり、心理的に負担が大きかったりするかでは、シスヘテロは1.29なのに対し、LGBTQ+は1.78。体育の授業中は、他の時間に比べて同級生からLGBTQ+当事者をからかう言葉を聞きやすいかでも、シスヘテロは1.46なのに対して、LGBTQ+は1.76と、LGBTQ+の人は体育の時間に対して、心理的安全性を脅かされていると感じていた。

 また、体育の際の服装や環境に関する質問では「更衣室が同級生と同じで嫌だ」「水着を着用する際に、肌の露出が気になる、嫌だ」「男女で体操服やジャージのデザインや形が異なる時、それらを自分の意思で選択したい」などで、LGBTQ+の人の平均値は、シスヘテロの人の平均値より高くなった。

 さらに、「体育の授業で、性別により実施する種目が分かれていて、やりたい種目ができない」「体育の授業で、男女でグループが分かれることが嫌だ」など、性別で活動が分けられることへの抵抗感も同様の傾向を示している。

 調査結果を踏まえ、プライドハウス東京の担当者は、体育の教員に向けて「LGBTQ+のユースにとって、学校体育の現場は自分らしくいることができず、ポジティブな気持ちになりづらい場所になっている可能性が示唆された。LGBTQ+のユースが体育現場のどういったところで悩みを抱えているのか、ぜひ調査結果を見て、一緒にアクションさせていただきたい」とコメントを寄せた。

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