特異な才能ある児童生徒支援の実証研究 長野県教委など採択

特異な才能ある児童生徒支援の実証研究 長野県教委など採択
iStock.com/RichVintage
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 文科省の2023年度予算に新たに盛り込まれた「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」について、教職員などに向けた研修パッケージの作成や、指導・支援に関する実証研究などを担う団体が採択され、4月3日に公表された。本事業のうち、①研修パッケージの作成では愛媛大学(1団体)②特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援に関する実証研究では長野県教委など7団体③教職員・保護者の相談支援に関する実証研究ではNPO法人日本教育再興連盟(1団体)ーーの計9団体が選ばれた。

 2つ目の「特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援に関する実証研究」で採択されたのは▽長野県教委▽東京都八王子市教委▽名古屋市教委▽東京学芸大学▽筑波大学▽三重大学▽星槎SEISAアカデミーーーの7団体。

 これら7団体が取り組む研究課題は▽単元内自由進度学習や異年齢集団による学習、理解の状況に応じた課題の設定など、特異な才能のある児童生徒をはじめ、子供の関心などに合った授業や学習活動の在り方▽特異な才能のある児童生徒を含む、全ての子供たちが互いに尊重される授業や学級経営の在り方など、多様性を包摂する学校教育の在り方▽特性などを把握するためのサポートを受けながら行う、特異な才能のある児童生徒への指導・支援の在り方▽学習面・生活面にわたる学校と学校外との機関との連携による指導・支援の方法▽才能と障害を併せ有する児童生徒への対応ーーなど。

 23年度予算ではこれに加え、こうした児童生徒の特性を把握するツールや、支援に資するプログラムなどのデータ収集・整理なども盛り込まれていたが、今回の公募では採択に至らなかったほか、②の実証研究でも採択団体が想定(8団体)より少なかったため、早期に2次公募を実施する予定。

 特定分野に特異な才能のある児童生徒を巡っては、その才能や特性故に学校生活で困難を抱えるケースがあることが指摘されており、文科省が有識者会議を設置して議論を進めてきた。昨年9月には有識者会議が審議を取りまとめ、こうした児童生徒について、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の一環として、支援に取り組む方向性が明記された。一方、学校現場でこうした児童生徒の支援に取り組んでいる事例は少なく、有識者会議の審議まとめでは、今後の実証研究を通じて実践事例の蓄積を図ることが提言されていた。文科省では、実証研究などの経費として23年度予算に新規で8000万円を盛り込んでいる。

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