こども家庭庁に自殺対策室設置を 超党派議連が首相に要望

こども家庭庁に自殺対策室設置を 超党派議連が首相に要望
iStock.com/SewcreamStudio
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 小中高生の自殺者数が過去最多となったことを受けて、超党派の議員連盟「自殺対策を推進する議員の会」(会長・武見敬三自民党参院議員)は4月5日、首相官邸で、こども家庭庁に「子ども自殺対策室」を新設するなどの対策を、岸田文雄首相に緊急要望した。全ての学校で児童生徒の自殺対策を推進するために必要な予算の確保や、教職員を支援するための24時間対応の相談窓口の開設など、10項目を盛り込んだ。

 緊急要望では、3月に公表された警察庁の自殺統計(確定値)に基づく厚労省の集計で、2022年の小中高生の自殺が514人と、1980年の統計開始以来、初めて500人を超えた事態に強い危機感を表明。同会でも3月8日付で「こども・若者自殺対策推進本部」を新設し、子どもの命を守る取り組みを推進していく決意だと強調した。

 その上で、政府に対して①こども家庭庁に子どもの自殺対策を担当する「専任管理職を配置」②子どもの自殺に関する情報を集約し、多角的に分析するための体制整備③全ての学校で児童生徒の自殺対策を推進するために必要な予算の確保④自殺リスクの早期検知のため、1人1台端末を子どもの自殺対策に最大限活用⑤子どもへの生きることの包括的な支援(自殺対策)を骨太方針に明記⑥全ての児童生徒が「SOSの出し方に関する授業」を毎年度受けられるようにすること⑦高校で始まった「精神疾患に関する教育」を小中学校でも発達段階に応じた内容で実施⑧「子どもの自殺危機対応チーム」を全都道府県に設置⑨教職員を支援するための「子どもの自殺危機24時間相談窓口」の開設⑩首相が全国の自治体首長らに「ゲートキーパー研修」の受講を呼び掛けること――を求めた。

 特に①、②、③は要望書でも強調されており、こども家庭庁への専任管理職の配置に関しては、子どもの自殺対策の推進には関係府省や地方自治体、民間団体との緊密な連携が不可欠であるものの、これまでは担当省庁が明確でなく、連携が不十分だったと指摘し、こども家庭庁に「子ども自殺対策室」を新設して、専任の管理職を室長として置くことを提案。必要な予算の確保では、例えば学校が「自殺リスクに関する健診ツール」などの導入を検討する際の最大の壁が予算だとし、こうした取り組みに優先的に予算を充てるべきだとした。

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