中央省庁の働き方改革のトップランナーを目指しているこども家庭庁に4月7日、河野太郎デジタル担当相が訪れ、デジタル庁が推進している政府共通のPC、ネットワーク環境であるガバメントソリューションサービス(GSS)の活用やペーパーレス、テレワークといったこども家庭庁の働き方改革の状況を視察した。河野担当相と共に記者団の取材に応じた小倉将信こども政策担当相は、こども・子育て分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)について、子育て当事者のDXを手始めに、デジタル庁と協力して保育や子育て支援の現場のDXもできるところから進めていく考えを示した。
4月に発足したこども家庭庁では、職員の健康保持のため終業から次の始業までの時間を11時間確保する「勤務間インターバル」の導入をはじめ、男性職員の1カ月以上の育児休業取得率100%など、意欲的な目標を掲げ、テレワークの推進や座席のフリーアドレス、ペーパーレスに取り組んでいる。
そうした働き方を支えているのが、デジタル庁が音頭を取って各省庁に導入を進めているGSS。GSSでは、職員が使用する端末は職場内ではWi-Fiに接続し、ネットワークにアクセスできるようにし、有線による接続をしなくて済むようにしているだけでなく、職場の外では端末自体に通信機能が備わっているため、テレワークにも対応できる。現在、新設された両庁をはじめ、システムの更新に合わせて一部の省庁で順次切り替えが進んでいる。
河野担当相は、そうしたこども家庭庁でのGSSの活用状況を確認するとともに、庁内で部局を横断した打ち合わせなどが手軽にできる「コミュニケーションエリア」を視察。職員の働く様子をじかに見聞きし、小倉担当相とDXや働き方改革について意見交換した。
視察を終えて記者団の取材に応じた河野担当相は「働いているお父さんやお母さんは、お子さんがいると突発的にいろいろなことが起きるのはよくあると思う。GSSでそういうところにも対応しやすくなるのではないかと期待している。使い勝手を教えていただいて、今後さらに改善していきたい」と、こども家庭庁でのGSSの活用に期待を寄せた。
デジタル庁と連携した保育や子育て支援分野のDXについて小倉担当相は「昨年12月に河野デジタル相にご協力をいただいて、こども政策のDXのプロジェクトチームを立ち上げた。手始めに就労証明書のデジタル化と、今ちょうどやり始めている伴走型支援のデジタル化にすでに着手している。工程表も作らせていただき、まず子育て手続きは、妊娠届から始まって出生届、予防接種、乳幼児健診など、非常に対面やペーパーワークが残っているので、デジタル庁と協力してこども・子育て手続きのDX化を進めていきたいと思っている」と強調。
「まずは当事者のDXを進めたいと思っているが、保育所をはじめとする子育て施設も、まだアナログの部分が残っているので、施設の関係者の負担も勘案しつつ、できるところからデジタル化を進めていきたいと考えている」と、保育や子育ての現場のDXについても可能なことから着手していく考えを示した。