学校教育とChatGPT「どう使いこなすかが重要」 永岡文科相

学校教育とChatGPT「どう使いこなすかが重要」 永岡文科相
閣議後会見で質疑に応じる永岡文科相
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 対話型の生成AI「ChatGPT」の学校現場での利活用を巡り、永岡桂子文科相は4月7日の閣議後会見で、学習指導要領が情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けていることを踏まえ、「生成AIをどのように使いこなすかという視点」「生成AIの回答を批判的に吟味したり、自分の考えを形成するのに生かしたりするといった視点」が重要だとの見解を示した。学校現場でのChatGPTの利活用には慎重な意見も出ていることから、国内外での実践事例など学校現場が利活用の判断をするときに参考となる資料を作成する考えを改めて表明した。

 永岡文科相は、学校現場でのChatGPTの利活用について、4月6日の自民党文科部会で「制御的、抑制的に、という意見」(中村裕之部会長)が出されたことも踏まえ、「ChatGPTなどAIを活用したさまざまなサービスが生まれる中で、学校現場での生成AIの利用については、さまざまな議論があることは承知している。学校現場で新たな技術を活用する際には、そのメリットとデメリットを両方しっかりと留意することが重要だと思っている」と述べた。

 その上で、「学習指導要領では、学習の基盤となる資質・能力として、情報および情報技術を適切かつ効果的に活用して問題を発見したり、自分の考えを形成したりしていくために必要な能力として『情報活用能力』を位置付けている。このような観点から、新たな技術である生成AIをどのように使いこなすかという視点とか、また生成AIの回答を批判的に吟味したり、自分の考えを形成するのに生かしたりといった視点も重要になる」と指摘。児童生徒の情報活用能力を育成する中で、ChatGPTを使いこなすことや、ChatGPTの回答を批判的に吟味したり自分の考えの形成に生かしたりすることが重要になるとの考えを示した。

 今後の対応については「文科省としては、有識者の見解を聞き、学校現場の実践事例や諸外国の事例などを収集し、学校現場が主体的な判断をする際に参考となるような資料をできるだけ速やかに取りまとめたい」と述べた。

 文科省では、GIGAスクール構想の関連で、次世代の学校教育に向けた最先端技術や教育データの利活用に関する実証事業として2023年度予算に1億円を盛り込んでおり、この予算を使ってセンシング(画像認識や音声認識)やメタバース、AR(拡張現実)などとともに、ChatGPTを含めたAIについても実証研究を進める考え。「現行の学習指導要領では、小学校からプログラミング的思考の育成に取り組むなど、新しい技術を生かして自分の考えを形成していく『情報活用能力』を重視している。ChatGPTを使いこなすとはどういうことなのか、有識者の意見も聞きながら、学校現場の参考になるような資料を早急に作りたい」(同省初等中等教育局学びの先端技術活用推進室)としている。

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