東京都教委は4月13日、第6回定例会を開き、今年度の中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の実施方針を報告した。今年度の実施日は11月26日(日)、予備日は12月17日(日)で、会場は都立学校、大学、民間施設、都の施設など。4月中に中学校を通じて生徒や保護者に案内を行い、詳細は5月に公表する実施要項に記載する。昨年度の試験では、「受験会場が遠い」「試験中に別の受験生の声が聞こえた」など運営体制の課題が指摘されており、都教育庁の担当者は、今年度の試験でこうした課題を改善する方針を示した。教育委員からは、運営体制や試験問題の改善を望む声や、今年度の入試で不受験者の合否判定に問題がなかったか、確認を求める声が上がった。
今回の定例会で都教育庁の担当者は、昨年度のテストについて「生徒の『話すこと』の能力を適切に測ることができた」とした一方、課題として▽定められた期間中に、受験申し込みや特別措置などの申請が完了していない生徒が見られた。また、誤った会場に行った生徒や、指定された会場までの交通手段の確保が難しいケースがあった▽「他の生徒の声が聞こえた」という報道が一部にあった▽機器の不具合に起因する録音不良により、評価の修正を行った――ことを挙げた。
こうした課題を踏まえ、今年度は▽いっそう取り組みやすい問題が出題できるよう、さらなる良問を作成する▽生徒、保護者や教員が見通しを持って準備できるよう、受験申し込み方法や受験会場などについて見直しを行うとともに、周知の時期や方法を改善する▽解答に影響を与える事例の報告はなかったが、生徒が、より集中できる受験環境を整備する▽採点方法や点検方法について、常に検証を行い、維持・向上に努める――とした。
13日の定例会では、教育庁から昨年度のテストの実施状況についても報告された。それによると、受験者数は実施日・予備日合わせて7万1197人。平均スコアは60.5(2021年度は53.7)と上昇した。
これについて、都教育庁の担当者は、「21年度は、意見と事実を区別して述べたり、意見と理由を答えたりすることができていないと分析しており、教員向けの分析説明会などで繰り返し周知をしてきた。今回はその点がかなり伸びており、質問されていることをきちんと把握して、意見とそれをサポートする理由を分かりやすく説明することがかなりできたと分析している。試験の結果が指導の改善に結び付いたのではないか」と説明した。
この報告に対し、教育委員からは「昨年度は実施体制に課題があった。監督者の募集なども含め、改善をしていってもらいたい。このテストのことを心配している方もいるので、解消されていくことを願っている」との声が寄せられた。
また、都立高入試にスピーキングテストの結果を活用する上で、不受験者は英語学力検査の得点が同じ受験生から仮の結果を推計するという方法が取られたことに対し、公平性を懸念する声が上がっていたことに触れ、「不受験者の扱いについて、合否判定をする際に課題になることはなかったか、各高校に確認した方がよい」との指摘もあった。
また別の教育委員は「良問を作成するという点で、さらに検討をいただきたい。昨年度の問題では、電車に乗っていたら鳥が入ってきて、帽子の上に花を置いたという状況を説明する問題があったが、これは実生活ではまずない状況だ。日常生活ですぐに英語を使ってみたくなるような問題になることを期待したい」と述べた。