内閣府、警察庁、法務省、文科省、国交省の5府省庁が今年3月末、「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」を初めて取りまとめたことを受け、永岡桂子文科相は4月18日、閣議後会見で、文科省の対応方針を説明するとともに、「本当に被害者は全く悪くない。児童生徒の皆さんも、もし痴漢被害に遭ってしまった場合はためらわず、安心できる大人、近所にいる大人に相談していただきたい」と呼び掛けた。
今回の政策パッケージでは、痴漢事犯の実態把握や重点的な取り締まりの強化など「痴漢を防ぐ取り組み」、刑事施設での性犯罪再犯防止指導など「加害者の再犯を防ぐ取り組み」といった加害対策に加え、「被害者を支える取り組み」として、痴漢の被害に遭った児童生徒が警察への被害の届け出や通報を行ったことで学校を遅刻・欠席した場合について、柔軟な対応を求めた。学校で遅刻・欠席扱いとされることを恐れ、通報をためらうケースがあることを考慮した。
この政策パッケージを受け、文科省が3月末に全国の教育委員会や大学などに対して出した事務連絡について、永岡文科相は「痴漢被害による遅刻または欠席をした場合について、児童生徒が不利益を被ることのないよう適切に対応を求めることのほか、通学路における安全確保と安全教育、性犯罪・性暴力の当事者にさせないための生命(いのち)の安全教育、また学校における相談体制の充実、そして被害に遭った受験生など受験機会の確保などの取り組みの一層の強化をお願いした」と説明した。
その上で「痴漢は重大な犯罪である。本当に重大だ。個人の尊厳を踏みにじる行為であり、断じて許すことはできない。本当に被害者は全く悪くないと思っている。児童生徒の皆さんも、もし痴漢被害に遭ってしまった場合はためらわず、安心できる大人、近所にいる大人に相談していただきたいと思っている」と強調した。