こども家庭庁の発足を機に、障害のある子どもや発達に課題のある子ども、そしてその家族の支援を拡充していくため、同庁と文科省、厚労省の副大臣による家庭・教育・福祉の連携に関する合同連絡会議が4月20日、厚労省で初会合を開いた。出席した副大臣らは、2018年に文科省と厚労省の合同による「家庭と教育と福祉の連携『トライアングル』プロジェクト」の成果と課題を踏まえ、合同連絡会議の下で、より連携を強化していく必要性を確認した。
合同連絡会議は、こども家庭庁の発足に伴い、障害や発達に課題のある子ども、その家族の支援に向けて、同庁と文科省、厚労省が連携していく必要性が高まったことにより設置された。初会合には、小倉将信こども政策担当相をはじめ、和田義明こども政策担当副大臣、簗和生文科副大臣、羽生田俊厚労副大臣、伊佐進一厚労副大臣が出席。全国児童発達支援協議会や全国特別支援教育推進連盟、日本発達障害ネットワークからヒアリングを行った。
障害のある子どもの教育と福祉、家庭分野の連携を巡っては、文科省と厚労省による「家庭と教育と福祉の連携『トライアングル』プロジェクト」で、自治体の教育委員会と福祉部局の連携や、学校と放課後等デイサービスの間での個別の支援計画の活用促進などがすでに打ち出されている。
しかし、伊佐副大臣は「地域を回っていると、例えば放課後等デイサービスに行くと『どうしても学校の敷居が高い、なかなか学校でどういうことが行われているか、今日何があったのかを知る機会がない』と、あるいは学校に行くと『放課後等デイサービスで何をしているか、どういうことをやっているのか』と(いう声が聞こえる)。各家庭は両者のはざまにいて、家庭にもさまざまな課題があるかもしれない。この連携が非常に大事だ」と指摘。
「(プロジェクトを)機会にさまざまな制度・予算が付いた。だから今、こういう状況を伺っていると、あのときのあの成果は何だったのかという思いがある。よく調べてみると、相当な地域差があったり、制度は作ったけれども実施されていない実情があったりする」と、現場レベルの連携の課題を挙げた。
一方、和田副大臣はプロジェクトの成果を踏まえつつ、子どもの最善の利益を重要視するこども家庭庁の立場から、今後の政策の方向性について言及。「障害や発達に課題のある子どもや、家庭の支援にあたっては、障害の有無にかかわらず、共に育ち、暮らしていく共生社会の実現に向けて、障害のある子どもの地域社会への参加、インクルージョンを推進する観点に立って、関係省庁が連携しながら進めていくことが重要だ」と、共生社会の実現の視点を提示した。
簗副大臣は、特別支援教育の観点からも、専門家や福祉機関との連携強化の重要性が増していると強調。「家庭、教育、福祉の連携をさらに深めるべく、関係団体や自治体から現状や課題をお伺いし、関係省庁間の連携体制の下で障害のある子どもたちをしっかりと支えるための方策を検討し、全国に発信していきたい」と、合同連絡会議への意欲を語った。