病気療養中の子どもの学習支援 岡山のNPOが事例集を公開

病気療養中の子どもの学習支援 岡山のNPOが事例集を公開
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 岡山県を中心に慢性疾患を抱えている子どもやその家族の支援を行うNPO法人のポケットサポートはこのほど、病気を抱えている子どもたちの学びを多職種が連携して支援した事例集を電子ブックにして公開した。入院先の病院と学校をオンラインでつなぎ、一緒に授業や交流ができるようにしたり、病気療養しながらの就学にあたって、多職種が参加してケース会議を開いたりした事例などが紹介されている。

多職種連携による病気療養中の子どもの学習支援を取り上げた事例集(ポケットサポート提供)
多職種連携による病気療養中の子どもの学習支援を取り上げた事例集(ポケットサポート提供)

 2020年度にポケットサポートが岡山県内の小、中、高校、特別支援学校に実施したアンケートの結果によると、4割以上の学校が、病気などで長期療養が必要な子どもを支援した経験があると答えた一方、保護者との情報共有や児童生徒とのつながりの維持・継続、学習機会の確保、院内学級との連携などの支援に、多くの学校が課題を感じていることが分かった。

 また、特に慢性疾患を抱えている子どもの支援は、事例そのものが多くなく、医療や福祉などとの多職種連携も必要であるものの、ノウハウが蓄積しにくかった。そこで、ポケットサポートではこれまで実際に支援してきた中から、多職種が連携し、病気療養中の子どもの学びの保障につながった5つの事例を選び、実現に至るまでのプロセスや必要な環境整備、連携のポイントなどをまとめた。

 例えば、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末を活用して病院や自宅から遠隔授業で参加できるようにした事例や、入院によって諦めていた卒業式への出席を、病室からのオンライン中継で実現した事例、入院中の高校生が遠隔授業で単位を取得し、無事に進級できた事例などを解説。授業だけでなく、病気療養しながら小学校に就学する子どもに対して、医療や保健、教育分野の専門職が連携してケース会議を開いた事例も載っている。

 事例集はベネッセこども基金の「重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成」で作成され、冊子は岡山県内の学校や小児慢性疾病指定医療機関などに郵送された。また、全国の教育現場で参考にしてもらいたいと、電子ブックとしてポケットサポートのウェブページから閲覧することもできる。

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