こども家庭審議会が初会合 8部会設置、委員に大学生も

こども家庭審議会が初会合 8部会設置、委員に大学生も
小倉こども政策担当相(中央)と会長の秋田教授(右)
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 こども家庭庁設置法に基づき、首相や関係各大臣、こども家庭庁長官の諮問に応じて、こども政策の重要事項を調査審議する「こども家庭審議会」の初会合が4月21日に開かれ、岸田文雄首相からの諮問を受けて、今後5年間の政府のこども政策の基本的な指針となる「こども大綱」の案策定に向けた議論が開始された。こども家庭審議会は、大学生や子育て当事者を含む25人の委員で構成され、8つの部会を設置。会長には秋田喜代美学習院大学文学部教授/東京大学名誉教授が選出され、会長代理には五十嵐隆国立成育医療研究センター理事長が指名された。

 

 こども家庭審議会はこども家庭庁設置法に基づき、首相、関係各大臣、同庁長官の諮問に応じて、基本的なこども政策に関する重要事項の調査審議を行う。重要事項に関して自ら調査審議し、首相や関係各大臣、同庁長官に意見を述べることもできる。こども家庭審議会の下に、こども大綱の案の策定に向けた検討や、こどもの意見を反映する政策の仕組みづくり、子どもの権利に関する調査審議などを行う「基本政策部会」、「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針(仮称)」の策定や保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の調査審議を行う「幼児期までのこどもの育ち部会」、「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」や放課後児童施策などを担当する「こどもの居場所部会」のほか、「科学技術部会」や「社会的養育・家庭支援部会」「児童虐待防止対策部会」「障害児支援部会」「こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会」を置く。

 初会合では、岸田首相から、こども大綱や「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針(仮称)」「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の案の策定に向けた諮問が行われ、委員が意見交換した。

 大学生で、あしなが育英会奨学生でもある谷口和花菜委員は「私自身は中学3年生のときに母親を亡くして、高校1年生のときには父親とも離別することになり、大学生の姉と2人で生活していた時期があった。当時、生活が困窮してしまった時期があり、貧困当事者の意見を伝えていけたらと思っている。これからたくさん、こどもの貧困や環境について考えていきたい」と意気込みを語った。同じく大学生の村宮汐莉委員は「これまで私はまちづくりの事業として、実際にフィールドに出て、こどもたちと関わる地域教育を経験してきた。それらを踏まえた上で、こどもの学ぶ環境や、今後地域を担うこどもの育成について議論していけたらと考えている。学生ではあるが、こどもや若者に近い目線で議論に貢献していきたい」と、こどもや若者による地域と教育の視点を強調した。

 会長に選出された秋田教授は「本音で、こどもの目線で考えていく。これが、こども基本法ができた意義とも関わってくる。こども家庭庁という象徴的な省庁ができ、私どもに何ができるのか、一緒に考えていきたい」とあいさつした。

 途中から出席した小倉将信こども政策担当相は「私自身もこども家庭庁の発足を待たずに参加してきた。それぞれの会議における先生方の議論を聞いて思うのは、これまでのこどもや子育ての社会通念と、先生方がこれまで得られてきたさまざまなエビデンスや科学的知見、専門的な知識と比べると、必ずしもこれまでの社会通念がこどもや子育てのためにならないことも多々あった。そういう意味ではしっかりとエビデンスに基づいて先生方の知見を集め、違うことであれば違うとしっかり言うのも、こども家庭庁の役割だと思っている。ぜひその点についても、こども家庭審議会の委員の皆さまにお力添えをいただきたい」と、エビデンスに基づいたこども政策の調査審議に期待を寄せた。

 こども家庭審議会の委員は次の通り。

 ▽秋田喜代美(学習院大学文学部教授/東京大学名誉教授)▽有村大士(日本社会事業大学社会福祉学部教授)▽五十嵐隆(国立成育医療研究センター理事長)▽石原理(女子栄養大学栄養学部教授)▽大石亜希子(千葉大学大学院社会科学研究院教授)▽大竹智(立正大学社会福祉学部教授)▽大豆生田啓友(玉川大学教育学部教授)▽小野善郎(元和歌山県精神保健福祉センター所長)▽上鹿渡和宏(早稲田大学人間科学学術院教授)▽倉石哲也(武庫川女子大学心理・社会福祉学部教授)▽櫻井彩乃(GENCOURAGE代表)▽新保幸男(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授)▽鈴木みゆき(國學院大學人間開発学部教授)▽砂上史子(千葉大学教育学部教授)▽田中れいか(一般社団法人たすけあい代表理事)▽谷口和花菜(大学生)▽土肥潤也(NPO法人わかもののまち代表理事)▽原田伊織(大学生)▽平野啓子(語り部・かたりすと/大阪芸術大学教授)▽堀江敦子(スリール株式会社代表取締役)▽前田正子(甲南大学マネジメント創造学部教授)▽松田茂樹(中京大学現代社会学部教授)▽村宮汐莉(大学生)▽山縣然太朗(山梨大学大学院総合研究部教授)▽山縣文治(関西大学人間学部教授)

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