新採の不採用率4.4%、自己都合退職の約半数は病気理由 東京都

新採の不採用率4.4%、自己都合退職の約半数は病気理由 東京都
昨年度の条件付採用教員の任用状況について報告された都教委の第7回定例会
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 東京都教委は4月27日、第7回定例会を開き、2022年度に新規採用した教員の条件付採用期間後の任用状況について報告した。それによると、新規採用教員2429人のうち、正式採用とならなかったのは108人で、その割合は4.4%だった。21年度の4.2%を上回り、過去5年間の中では最も高い割合となった。また108人のうち約6割が小学校教諭で、自己都合退職者の約半数は病気を理由としたものだった。都教育庁の担当者は「今年度からスタートした、小学校の新規採用教員全員を対象としたアウトリーチ型の相談事業などでしっかりと支援していきたい」と強調した。

 都が小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校、特別支援学校において昨年度に新規採用した条件付採用教員は2429人。そのうち、正式採用とならなかったのは108人で、約6割は小学校教諭だった。108人の内訳は「年度途中の自己都合退職者等」が最も多く101人。また、「正式採用『否』の者」は6人で、その全員が「自主退職者」だった。「懲戒免職」は1人だった。

 都教育庁の担当者は「年度途中の自己都合退職者の約半数は病気が理由で、約4割が転職、その他は介護などの理由だった」と説明。今年度からは、小学校の新規採用教員全員に対し、臨床心理士などが学校を訪問し、面談を行うアウトリーチ型の相談事業をスタートさせるとしており、「必要があれば産業医につなぐなどし、メンタル面でのサポート体制もさらに充実させていく」とした。

 地方公務員の条件付採用期間は通常6カ月のところ、教諭等(教諭、助教諭、講師)については1年間とされている。条件付採用教員のうち、正式採用とならなかった人の割合は、18年度は3.2%、19年度は3.7%、20年度は2.8%、21年度は4.2%、22年度は4.4%と推移しており、過去5年間の中で最も高い割合となった。

 同報告について、定例会に参加した教育委員からは「自己都合での退職者の約半数が病気を理由にしているのは、割合としては多いと感じる。教員になりたいという意欲を持った人がメンタルを壊すのは非常に残念な状況であり、丁寧にフォローしてほしい」「新人教員が安心して現場に入れるようにするため、早期の研修などを検討すべきではないか」といった意見が上がった。

 さらに別の委員は「学校側の受け入れ態勢として、今いる教員たちの意識を変えていく必要もあるのではないか。世代の違いがどれだけ価値観の違いを生むか。自分と世代の違う人が、その価値観の違いを受け入れてくれないと、非常にしんどくなる。そうした意識改革の視点も必要だ」と訴えた。

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