「異次元の少子化対策」の実現に向けたこども・子育て政策の強化について具体的な検討を進めている、政府の「こども未来戦略会議」は4月27日、首相官邸で第2回会合を開き、小倉将信こども政策担当相が取りまとめた試案(たたき台)である「こども・子育て支援加速化プラン」で位置付けられた3つの基本理念を中心に話し合った。
国立社会保障・人口問題研究所が公表した日本の将来推計人口によれば、日本の出生率は1.36にまで低下し、2070年には人口が8700万人にまで減少。0~14歳人口は797万人となり、65歳以上の人口が38.7%を占めるなど、少子高齢化がさらに進むとされている。加速化プランでは、こうした少子化に向けた対策として「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造・意識を変える」「全ての子育て世帯を切れ目なく支援する」の3つの基本理念を掲げており、この日の会合ではこれらについて構成員から意見を求めた。
会合後に記者会見を行った後藤茂之全世代型社会保障改革担当相によると、「若い世代の所得を増やす」に関しては「少子化の一因である若者・子育て世代の将来不安を解消するために、構造的な賃上げが極めて重要だ。非正規雇用と正規雇用の格差是正の取り組み、非正規雇用労働者のセーフティーネットの整備が必要だ」などの意見が出された。
「社会全体の構造・意識を変える」では、「個別の施策の実効性を確保するためにも、真の意味でこどもや子育てにやさしい、インクルーシブな社会をつくることが重要である」「性別での役割分担意識の払しょくが重要だ」「柔軟な働き方の推進に向けた制度の見直しや男性育休などは、この会議で大きな方向性を示した上で労使の合意が得られるように進めるべきだ」などの指摘があった。
「全ての子育て世帯を切れ目なく支援する」については、「必要な支援が切れ目なく、包括的に提供される総合的な制度の構築が必要」「一人一人の特性、ニーズに沿った支援を当事者の申請を待たずに届けることが必要だ」「世代を超えた全ての人々が連帯しながら能力に応じて負担し、支え合うことが必要だ」などが、意見として挙がったという。
同会議は次回、加速化プランで打ち出された児童手当の拡充や高等教育費の無償化、給食費無償化の課題整理、全てのこども・子育て世帯を対象とした保育サービス「こども誰でも通園制度(仮称)」などの、個別の施策案に関する具体的な検討を行う予定で、その後、6月ごろに閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)までに、将来的なこども予算の倍増に向けた大枠を示すとしている。
こども予算倍増の財源確保について後藤担当相は「こども・子育て財源については、政府として現時点で特定の財源を念頭に置いているわけではないが、まずは徹底した歳出の見直しが大前提だと考えている」と述べるにとどめた。