昨年にこどもの自殺が過去最多となったことを受けて、小倉将信こども政策担当相を議長とする、こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議が4月27日、こども家庭庁で初会合を開いた。連絡会議では次回以降、有識者らへのヒアリングを行い、6月上旬までにこどもの自殺対策の強化について取りまとめ、同月中に政府が示す「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)への反映を目指す。
連絡会議は、小、中、高校生の自殺が近年増加傾向にあり、2022年には514人と過去最多となったことを踏まえ、こどもの自殺対策について関係省庁が連携して総合的な施策を推進していく目的で設置。こども家庭庁をはじめ、内閣官房孤独・孤立対策担当室、警察庁、消防庁、法務省、文科省、厚労省で構成される。5月中に有識者や当事者からヒアリングを実施し、6月上旬に行われる会合で、こどもの自殺対策の強化について取りまとめを行い、骨太の方針に盛り込んでいく方針。連絡会議はその後も継続して開催する予定で、秋以降の「こども大綱」にも、中長期的な対策を記載するとしている。
この日の会合では、各省庁からこどもの自殺対策に関連した取り組みについて報告が行われた。昨年10月に閣議決定した新たな「自殺総合対策大綱」でも、こども・若者の自殺対策の推進・強化はすでに打ち出されており、例えば厚労省では今年度、自殺未遂や自傷行為などがみられるハイリスクなこども・若者に対して、地域の関係機関からの要請を受けて、多職種の専門家で構成される対応チームが支援方針の検討や助言を行う「若者の自殺危機対応チーム事業」を新たにスタート。文科省でも、GIGAスクール構想で配備された1人1台端末を活用し、児童生徒の日々のストレスや心身の変化を把握しながら、自殺リスクが高まる前の早期の支援につなげる仕組みの構築を進めている。
各省庁からの報告を受けて小倉担当相は▽各省庁のデータを持ち寄り、自殺の動機や原因についての究明の徹底、多角的な分析を進めること▽各省庁が連携して取り組みの相乗効果を図っていくこと▽思い詰めているこどもに届き、安心して声を上げられるような情報発信、相談体制の強化を検討すること――を指示。「こどもや若者の声を聞きながら、さらには支援者の声を聞きながら前に進めていただきたい。こどもの自殺はあってはならないことだ。残された家族や友人の悲しみは計り知れない。この問題は一刻の猶予も許されない。どうか政府一丸となって、取り組みをさらに前に進めていただけるよう、お願いしたい」と強調した。