【5類移行】感染不安での欠席 引き続き「出席停止扱い可」

【5類移行】感染不安での欠席 引き続き「出席停止扱い可」
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 新型コロナウイルス感染症が5月8日から5類感染症に移行するのに伴い、文科省は4月28日、学校保健安全法施行規則の一部改正と、衛生管理マニュアルの改訂について、都道府県・政令市の教育委員会などに通知した。通知では、5類移行後も感染が不安で休ませたいと相談があった児童生徒の出欠の取り扱いについて、合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上の出席停止扱いを可能とすることが明記された。また、感染状況が落ち着いている平時には、健康状態の把握や、適切な換気、手洗いや咳エチケットの指導といった基本的な感染症対策以上のものは求めないとした。同省の初等中等教育局健康教育・食育課の担当者は「3年以上続けてきた感染症対策を一気に変えることは難しいかもしれないが、児童生徒が安心して充実した学校生活が送れるよう、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたい」と強調した。

 まず、5類移行後の新型コロナウイルス感染症への感染が確認された児童生徒などに対する出席停止の期間は、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を基準とする。出席停止解除後、発症から10日を経過するまでは、当該児童生徒に対してマスクの着用を推奨する。また、これまでと同様、新型コロナウイルス感染症への感染が確認された児童生徒などが出席停止の期間を経て登校するにあたっては、学校に陰性証明を提出する必要はない。

 5月8日以降は濃厚接触者としての特定は行われないこととなり、同居している家族が新型コロナウイルス感染症に感染した児童生徒や、学校で新型コロナウイルス感染症の患者と接触があった児童生徒などのうち、感染対策を行わずに飲食を共にしていても、新型コロナウイルス感染症の感染が確認されていない人については、直ちに出席停止の対象とする必要はない。

 一方、「感染が不安で休ませたい」と相談があった児童生徒などの出欠の取り扱いについては、同居家族に高齢者や基礎疾患がある人がいるなどの事情があり、他に手段がない場合など、合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上、「出席停止・忌引等の日数」の欄に記入し、欠席としないことも可能とした。また、医療的ケアを必要とする児童生徒や基礎疾患などがあることにより重症化するリスクが高い児童生徒などについて、登校すべきでないと判断した場合についても、指導要録上「出席停止・忌引等の日数」の欄に記入し、欠席とはしないことも可能としている。

 引き続き、発熱や咽頭痛、咳などの普段と異なる症状がある場合には自宅で休養し、無理をして登校しないよう、児童生徒や保護者に対する周知・呼び掛けを行うよう示している。ただし、軽微な症状があるからといって登校を一律に制限する必要はなく、児童生徒本人や保護者の意向に基づかず、医療機関での検査や検査キットによる自己検査を求めることがないよう注意を促した。

 また、学校における新型コロナウイルス感染症対策の考え方については、5類移行後も「家庭との連携による児童生徒の健康状態の把握」「適切な換気の確保」「手洗い等の手指衛生や咳エチケットの指導」といった対策を講じることが引き続き重要だと示した。一方で、感染状況が落ち着いている平時においては、これ以外に特段の感染症対策を講じる必要はないと明記している。

 3月17日に出されたマスクなしの学校教育活動に関する通知では、マスク着用を求めないものの、「グループワークは少人数で、大声での会話は控える」などの感染症対策を求めていたが、こうしたことも平時においては求めない。ただし、地域や学校において感染が流行している場合などには、活動場面に応じて「近距離・対面・大声での発声や会話を控えること」や、「児童生徒間に触れ合わない程度の身体的距離を確保すること」の措置を一時的に講じることが考えられるとしている。

 また、学校の臨時休業については、感染対策上の意義や、実施する範囲や条件を事前に明確にして公表しておくとともに、児童生徒の学びの保障の観点などに留意しつつ、必要な範囲、期間において機動的に対応を行うよう示した。

 永岡桂子文科相は4月28日の閣議後会見で、「3年以上、長きに渡って感染症対策の徹底、また児童生徒の学びの保障の両立に全力を尽くしてくれた学校現場の先生方に対して、改めて深く感謝を申し上げたい」と述べ、「子どもたちは感染症対策によって、学校生活のさまざまな行動が制限された。一方、オンラインで学び続けることができたことも新たな経験となり、今後の人生における大きな力となったのではないか。今後、さまざまな教育活動が再開し、GIGAスクール構想の下、新たに生み出された多様な教育実践も取り入れながら、さらに充実した学校教育が展開されることを願う」と強調した。

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