高校の完全無償化方針を決定 来年度から段階的に、大阪府

高校の完全無償化方針を決定 来年度から段階的に、大阪府
高校などの完全無償化の方針を決めた大阪府の戦略本部会議(YouTubeで取材)
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 大阪府は5月9日、府としての重要施策の方針を固める戦略本部会議を開き、世帯の所得や子どもの数に関係なく、公立・私立高校の授業料などの完全無償化を目指すことを決定した。来年度から段階的に実施し、2026年度には全学年で授業料を完全無償化する。大阪府外の私立高校などに通う府民の生徒も対象。合わせて、大阪公立大学などについても、所得にかかわらず授業料の無償化を始める。

 これまでも大阪府では、年収910万円未満の世帯を対象に、私立・公立高校の授業料の無償化を実施してきたが、子育て世帯の教育費負担の軽減を進めるため、所得や世帯の子どもの人数といった制限を撤廃し、完全無償化を実現させる。国の就学支援金と併せて、大阪府の無償化制度に参画する就学支援推進校を選択した私立高校などに対して、授業料支援補助金を交付。補助の上限(60万円)である標準授業料を超える授業料に対して、学校負担を求める「キャップ制」を全世帯に適用する。また、大阪府外の私立高校に府民の生徒が通うケースにも対応するため、府内外の私立高校に対して就学支援推進校・キャップ制への参画を働き掛ける。

 今年夏までに制度を成案化し、来年度の高校3年生から所得制限を段階的に撤廃。26年度には全学年で授業料の完全無償化を目指す。これにより、府では少なくとも382億円の財政負担が生じると見込んでいる。

 並行して、府では大阪公立大学などに通う大阪府民の大学生、大学院生を対象に、授業料を無償化する。来年度に大学4年生、大学院2年生などから実施し、26年度までに全学年に広げる。

 戦略本部会議の場で吉村洋文大阪府知事は「教育の無償化は絶対に必要。次世代への投資という意味でも非常に重要な方向性だ。これは必ずやりきり、次世代にしっかり残したい」と述べ、財政規律を担保しながら無償化に対する財源を確保していくことに加え、私立高校に対し、キャップ制の理解を求めていくことが課題になると強調した。

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