岸田文雄首相の「異次元の少子化対策」の実現に向けた試案(たたき台)である「こども・子育て支援加速化プラン」について検討している政府の「こども未来戦略会議」は5月17日、第3回会合を首相官邸で開き、構成員からヒアリングを行った。会議の最後に岸田首相は、後藤茂之全世代型社会保障改革担当相に対して、次回会合で安定的な財源について集中的に議論することや、6月に閣議決定する予定の「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)に向けて、「こども未来戦略方針」を取りまとめるよう指示した。
加速化プランの中に盛り込まれている検討項目の具体的な制度設計や課題などについて構成員からヒアリングを行ったこの日の会合では、複数の構成員から児童手当の所得制限の撤廃や高校生までの延長をすべきだという意見が出た。一方で、財源に限りがあることから、手当を増額する場合は対象者を絞るべきだとする意見や、まずは第三子以降で手当の額を重点的に引き上げ、効果検証をすべきだという意見もあった。
また、全てのこども・子育て世帯を対象とした保育サービス「こども誰でも通園制度(仮称)」は「早急に全国で実施すべき」「非常に画期的な制度で、早くやってほしい」などの肯定的な意見があった。
会議の締めくくりで岸田首相は、加速化プランを支えるために必要な安定的な財源について、次回会合で集中的に議論を行うこと、骨太の方針までに「こども未来戦略方針」を取りまとめることを後藤全世代型社会保障改革担当相に指示。会合後に記者会見を行った後藤全世代型社会保障改革担当相は「こども未来戦略方針」のイメージについて、「予算の倍増の道筋の大枠を示すということなので、少なくとも何らかの形で数字的な大枠の説明のようなものは当然含まれているだろうと思うが、どの程度のことをどの程度まとめるかは、(構成員の)皆さんとしっかり相談しながら、できる限り具体的で、できる限り分かりやすいものをまとめたい」と語った。
さらに、こども・子育て予算の特別会計創設が検討されているとの一部報道に関して、「本日の会議で特別会議を創設すべきという意見はなかったが、こども・子育て政策を強化するための安定的な財源を考えていく際には、国民にとって給付と負担の全体像が分かりやすいようにしていくことが重要であるということは、私も同感だ。次回のこども未来戦略会議では、こうした観点から、財源の在り方と合わせて、国民にとって給付と負担の全体像が分かりやすいようにする仕組みの構築についても、議論していただくことになるのではないか」との見通しを述べた。