全国統一的な子どもの医療費助成制度の創設に向けて、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の4知事と横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市の5政令市長で構成する「九都県市首脳会議」の清水勇人さいたま市長は5月19日、こども家庭庁で小倉将信こども政策担当相と面会し、国において統一的な医療費助成制度の創設に向けた検討を早急に実施することや、その検討にあたっては国と地方自治体による協議の場を設けて共同で議論することなどを要望した。面会後、清水市長は「子どもの医療費助成制度は、現状では自治体によって差異が生じている。出生数が80万人を切ったという状況下で、もはや自治体ではなく、国全体として子どもを安心して産み育てられる環境をしっかりつくる必要がある」と述べ、早急な対応を求めた。
子どもの医療費助成制度は、子育て支援の観点から、現状では地方単独事業として全国の各地方自治体が独自に制度設計しているため、住んでいる地域で助成の対象年齢や自己負担の有無など、助成内容に差異が生じている。また、関東圏内の地方自治体では、助成に対する費用が増加している傾向がみられ、大きな財政負担となっている。
今回の要望書では、国と地方の連携をより強化し、少子化対策の取り組みを一層加速するため、国に対して、①国において、全国統一的な医療費助成制度の創設に向けた検討を早急に実施すること②その検討にあたっては、長期的に安定した制度設計となるよう、国と地方自治体による協議の場を設け、共同で議論すること③子どもの医療費(地方単独医療費)助成の現物給付に係る国民健康保険の国庫負担金等の減額調整措置については、早急かつ確実に全て廃止することーーを求めた。
面会後、取材に応じた清水市長は「子どもの医療費助成については非常にニーズが高く、中学生のみならず高校生まで無償化という自治体も増えてきたが、住んでいる自治体によって制度が大きく違っている状態だ。出生数が80万人を切ったという状況下で、もはや自治体ではなく、国全体として子どもを安心して産み育てられる環境をしっかりつくる必要がある」と述べ、「地方財政の負担軽減により、地方自治体の本来の役割である地域の実情に応じたきめ細やかな支援をより充実させることが可能になる。それは、国全体の少子化対策の推進にも大きく寄与する」と強調した。また、今回の要望に対し、小倉こども政策担当相が「出生率を上げることが少子化対策にも重要だ。子どもの医療費助成についても継続的に議論していくべきだと考えている」と答えたことを明かした。
また、学校給食費の無償化などを実施する自治体も増えてきていることについて、清水市長は「少子化対策に貢献できうる施策はたくさんあるが、今の財政状況では全てやることは難しい。これは国も地方自治体も同じだ。限られた財源の中でどの施策を進めていくのが最も有効なのかを、しっかり見極めていく必要がある」との考えを示した。