少子化対策に新たな会計の仕組み構築 こども未来戦略会議

少子化対策に新たな会計の仕組み構築 こども未来戦略会議
記者会見で「こども未来戦略会議」の第4回会合の議論について説明する後藤全世代型社会保障改革担当相
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 政府は5月22日、「こども未来戦略会議」の第4回会合を首相官邸で開いた。前回会合での岸田文雄首相の指示を受けて、この日は安定的な財源について集中的に議論。事務局からは、岸田首相の「異次元の少子化対策」の実現に向けた試案(たたき台)で、「こども・子育て支援加速化プラン」を実現していくためには、新たな会計の仕組みを構築することが重要との論点が示された。

 事務局が示した論点では、こども・子育て政策を抜本的に強化するための予算や財源の在り方は、将来的に現行制度全体を見直し、総合的な制度体系の構築を目指していくことが必要だとし、「加速化プラン」の実現に向けた安定的な財源について、国民的な理解を得るためにも、国民にとって給付と負担の全体像が分かりやすいようにする新たな会計の仕組みを構築することが重要だと強調。恒久的な施策には恒久的な財源が必要だとして、こどもの世代につけを回さないように、加速化プランの実施完了までに、安定財源を確保すべきではないかとした。

 会議の最後に岸田首相は、少子化対策財源確保のための消費税を含めた新たな税負担は考えていないことを前提に、財源について①何よりも徹底した歳出改革を進めること、加速化プランを支える財源について全世代型社会保障を構築する観点から、歳出改革の取り組みを徹底するほか、既定予算を最大限活用すること②歳出改革の徹底などにより、国民の実質的な負担を最大限抑制すること③構造的な賃上げと投資の活性化に向けた取り組みを先行させ、経済基盤および財源基盤を確固たるものにすること④2030年までの少子化対策のラストチャンスを逃さないように、安定財源の確保に向けた取り組みを待つことなく、強化された少子化対策を前倒しで速やかに実行すること――の4つの方向性に基づいて、企業を含め、社会経済の参加者全体が連帯して公平な立場で子育て世代を広く支援していく新たな枠組みを、与党の意見も踏まえつつ具体的に検討し、結論を出す必要性を強調した。

 次回の会議では、6月に閣議決定する予定の「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)に向けて、次元の異なる少子化対策を実行に移していくための「こども未来戦略方針」の素案を検討する予定。

 会合後に記者会見を行った後藤茂之全世代型社会保障改革担当相によると、「こども子育て政策を安定的に実施するため、財源構成の分かりにくい既存の仕組みではなく、給付と負担の関係を国民に分かりやすく示すため、特別会計の創設などについて検討すべきだ」や「安定的な財源確保のため、まずは歳出改革に取り組むべきである。特に医療介護分野の社会保障費の適正化・効率化を進めるべきだ」などの意見が構成員から出たという。

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