国民のICT活用のリテラシーの向上策を練っていた総務省の検討会は5月23日から、これまでの検討会での議論を踏まえたICT活用のためのリテラシー向上に関するロードマップ案の意見募集を始めた。ロードマップ案では、優先すべき対象の一つに小、中、高校生を挙げ、幼い頃からICTが身近にあったデジタルネーティブとして、新たなデジタル技術を積極的に活用する一方で、発達段階に応じた学び方や使い方、偽・誤情報を含む違法・有害情報などのリスクを学ぶ必要があると強調。生成AIについても、ユーザーが適切に利用するためのリテラシーの在り方を検討すべきだとした。
スマートフォンの普及などに伴い、幅広い世代でSNSやインターネットの利用が当たり前となっている一方、誹謗(ひぼう)中傷や偽・誤情報が拡散されやすくなっているなど、国民のICTリテラシーを巡っては、新たな課題が顕在化している。これまでの総務省のICTリテラシーの向上策は、若年層を中心としたICT利用の際のリスクについて講義形式で学ぶスタイルが多く、オンラインサービスの特性や使う上での責任を理解した上で、より主体的な活用の仕方を学ぶものが求められるようになっていた。
こうした状況を踏まえ、検討会ではこれからのICTリテラシーに必要な能力や到達すべき習熟度レベルを整理。短期的、中長期的に取り組む事項をまとめた。特に小、中、高校生の青少年層と、子育て世代の保護者層、65歳以上のシニア世代の高齢者層を優先セグメントとし、青少年層と保護者層についてはレベル2の「自分自身でデジタル技術を利用できる」から、レベル3の「基礎的なリテラシーを一通り理解」に習熟度の水準を引き上げることを目標にした。
また、普及が急速に進む「ChatGPT」などの生成AIについても、誰もが生成AIによるコンテンツの取得が容易になり、利用者がそのコンテンツの真偽や妥当性などを十分に精査する能力が求められると指摘。生成AIの特徴や課題を整理した上で、適切に利用するためのリテラシーの在り方や教材開発について、今後検討することも盛り込んだ。
ロードマップ案は6月9日まで、e-Govで意見を募集している。総務省では意見を踏まえて夏ごろをめどにロードマップを取りまとめる方針。